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君がいた夏

第2章  爪痕【赤司征十郎】*裏あり


「…いや、いつも自分に厳しい坊っちゃまが年頃の男の子らしいことをやっと言うようになったなぁと思いまして」



…そう言われるとそうかもしれない。今まで俺は常に1番であることしか考えておらず、いつも自分を厳しく律していた。それは他人にも同じだった。



だけど去年のWCでそれだけではダメなんだと黒子達に負けて気付かされ、やっと本来の自分を取り戻した。



「…ふっ。だとしたらあいつらのおかげかな」


「…いいご友人に出会えたようですね。私は奥様が亡くなって、坊っちゃまから子供らしさが全く抜けてしまってとても心配でした。
…今の坊っちゃまの方が人間らしくて好きですよ」


キザに微笑む俺に爺やは優しい微笑みを浮かべ、抱きしめてくれる。
少々照れくさいが子供に戻ったみたいで心地よかったからそのまま何も言わずにいた。


俺が余韻に浸っていると爺やはハグを解いてメガネを押し上げ、冷静に言う。


「…坊っちゃま、では今手の空いているボディガードをお付けいたしますので少々お待ちを」

「いや、その必要はない」

俺は爺やに向かって手をかざす。当然爺やは声を張って焦ってる。

「何かあったらどうされるおつもりですか!?」

「そんな心配することないだろ?俺はもう子供じゃない。それに護身術、英会話も完璧なのは爺やにもわかるだろう?」


「それはそうですが……」


冷静に口角を上げて微笑む。爺やはまだ腑に落ちないようだが。けど、ここは譲れない。



「これから父さんの後を引き継ぐ上で学問だけでなく、様々な経験が必要だろう?
だから爺や、今回は誰の目にも触れず自由にしたいんだ。頼む…!」


俺は両手を合わせて爺やに願いをこうと、爺やは頭を抱えて少し悩む。


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