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君がいた夏

第2章  爪痕【赤司征十郎】*裏あり


高校2年の夏。
毎年この赤司家ではハワイにあるオーシャンビューの高級な別荘でお盆休みを過ごすことになっている。

ハワイに来るとウォータースポーツを楽しむが、如何せん毎年来てるとそれだけでは物足りない。

清々しいくらいの青い海と火山のコントラストが織り成す大自然の絶景が見えるルーフバルコニーで俺は頬に手を当て、他に何かすることはないか考える。


「…そういえば今日は父さんが夜に友人と会うと言って席を外しているな」

ニヤリとして掌にもう片方の拳をポンと置くと早速、長年世話になっている爺やにこっそりと伝えに行く。


「爺や。ちょっと頼みたい事があるんだがいいかい?」

「何でしょうか?坊っちゃま?」

「…そのいい加減坊っちゃまはやめてくれないかい?恥ずかしいよ」

でも爺やは構わず手を口元に添えて声を上げて落ち着いた様子で笑う。


「ほっほっほっ。私から見たら征十郎様はいつまでも可愛い坊っちゃまですからね」

「…その可愛い坊っちゃまが今夜父に内緒でここを抜け出そうとしてると言ったら?」


俺はニヤリと口角を上げて不敵に微笑む。当然爺やは目を見開いて驚いている。がしかし、すぐにその表情を崩して何故か笑い声を挙げた。


「…ほっほっほっ。ほっほっほっ」

「…何が可笑しいんだい?」


俺が怪訝そうな顔で尋ねると爺やは笑みを崩さず質問に答える。

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