第3章 譲れないマシュマロ【氷室辰也&紫原 敦】
それから私達3人はバスケ部皆と合流して、ビーチバレーをしたり、浅瀬で水を掛け合ったり、スイカ割りをしたりとベタだけど楽しくて仕方ない時間を過ごした。
勿論、私は終始笑いっぱなし。
こんなに楽しい時間を過ごしたことは今まで一度もなかったから…。
あと、氷室先輩の水の滴る姿がなんとも麗しくて、溢れ出る色気に影で悶えたり…。
紫原君が無邪気にスイカ割りを楽しむ姿を可愛いと思ったり…。
私を無理矢理でも引っ張ってくれた2人には言葉で言い表せないほどの感謝の気持ちが溢れ出す。
今日は海に来て、本当によかった。
ーーもうすっかり夕方になり、太陽は茜色に染まり哀愁漂う雰囲気を漂わせる。
それから皆でバーベキューして、花火をやって、とても充実した1日だった。
片付けも終わり、一本締めをして各自解散になる。
もう太陽も沈みかけ、辺りが暗くなろうとしていた。
私は2人にお礼を言いたくてすぐさま2人の元へと向かった。
「氷室先輩、紫原君!!」
「「ナナちゃん(ちん)」」
「……今日は本当にありがとうございます!!2人のおかげで今日はとても楽しかったです!!」
私は心から気持ちを込めて笑顔で言うと、紫原君と氷室先輩の口元が緩んでいた。
そして氷室先輩は私に近付き、手を掴んできた。
「ナナちゃん、俺、君に話したい事があるんだ」
「先輩!?一体、話って?」
「ちょい待ち〜。俺も話あるんだけど、ナナちんに」
「え、紫原君も!?一体どうしたの?」
慌てる私を他所に2人はまた私を真剣に見つめている。
シチュエーションもそうだけど、私は2人の顔を見て思わず期待をしてしまう。