第3章 譲れないマシュマロ【氷室辰也&紫原 敦】
「ナナちんさ、ずっとここで1人でいんじゃん?つまんなくないの?」
「うぅん!あたしはここで皆が遊んでるの見てるだけでもいいの!それに日光浴もできるし!」
いや、絶対嘘でしょ。いくら人に興味のない俺でもナナちんが無理してるのはわかる。
俺は眉間にシワを寄せて、彼女につい本当のことを言った。
「…ふーん。日光浴って割りには身体隠してんじゃん。それに人が楽しそうにしてるのがナナちんには面白いの?俺には理解できねーし」
「…うっ」
いつもは強く返すのに、ナナちんは体育座りをしながら顔を埋めた。
「…ナナちん?」
俺は焦って泣きそうな彼女の背中をさすると、彼女は立ち上がり俺に背を向ける。
「…ごめんね、紫原君。今1人にしてほしいの。…カキ氷ありがとうね」
「ナナちん!ちょっと、どこ行くの!?」
俺の止める声も聞かずにナナちんは岩陰に向かっていってしまう。
俺は彼女を泣かせたことで罪悪感が募りその場に留まって頭を抱えた。
「あーもー、俺ってば一体何やってんだ…」
くそ、女の子ってお菓子作る以上に難し過ぎる。
てか俺、そんなに言い過ぎたのか?
俺がくよくよと悩んでいると人の気配を感じて、上を向くと室ちんが俺の目の前にいた。