• テキストサイズ

君がいた夏

第3章 譲れないマシュマロ【氷室辰也&紫原 敦】



俺が敦の元へ向かうと、俺に気付いて先に敦から声をかけてきた。


「…室ちんじゃん。一体何の用?」

「あぁ、ナナちゃん見なかったか?それに敦、さっきまで海で泳いでただろ?」


俺がそう尋ねると敦は下を向き黙り始める。
少々様子がおかしい敦に俺はキョトンとする。

「…ナナちんが1人でいたから、俺海から上がってカキ氷あげたんだけどなんか泣いちゃって、あそこの岩陰に隠れちゃったんだよ」


カキ氷あげて泣いた?
俺は敦の言葉に疑問を持ち、彼を睨む。

「敦、お前泣かしたのか?」

「ち、ちげーし!」

「じゃあ、何でカキ氷あげただけで泣くんだよ?」

「……」

敦は口を尖らせて黙っている。多分何か言ったんだろうな。敦の言葉はダイレクトだから。


「言いたくないならいい。兎に角ナナちゃんのところへ俺は行くからな」

俺が下を向く敦を通りすぎると、敦は俺の左腕を掴んできた。

「…待ってよ、室ちん。俺も行く」


敦の思わぬ行動に俺は目を見開いた。


もしかして、ナナちゃんの事が好きなのか…?
そうだな、ナナちゃん以外の女子とはあんまり話してないもんな。だとしたら好きでも不思議じゃない。


でも例え敦がライバルでも俺は手加減しないけどね。

「じゃあ、彼女のとこへ早く行こうか」

俺は微笑んで敦と一緒にあの岩陰へ向かう。


/ 60ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp