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君がいた夏

第3章 譲れないマシュマロ【氷室辰也&紫原 敦】


「ナナちんさ、ずっとここで1人でいんじゃん?つまんなくないの?」


紫原君は子供っぽいのに、たまに痛い所をついてくるから結構困る。

私は誤魔化し笑いをして空元気に振舞った。


「うぅん!あたしはここで皆が遊んでるの見てるだけでもいいの!それに日光浴もできるし!」


私がそう誤魔化すと紫原君は眉間にシワを寄せて怪訝そうな顔をした。


「…ふーん。日光浴って割りには身体隠してんじゃん。それに人が楽しそうにしてるのがナナちんには面白いの?俺には理解できねーし」


「…うっ」


完璧図星だ…。
もう言葉が思いつかない私はそのまま目を俯いて体育座りをし顔を埋めた。


「…ナナちん?」


そのとき紫原君は私の体をさすり、どうやら焦ってるようだった。普段お菓子しか興味のない紫原君がそんな事するなんて意外すぎるけどね。

だけど、紫原君には悪いけど私の目頭が熱くなって今顔を上げられそうにない。


「…ごめんね、紫原君。今1人にしてほしいの。…カキ氷ありがとうね」


「ナナちん!ちょっと、どこ行くの!?」


私は彼に背を向け立ち上がり、大きい岩陰を目指して走って行った。




ーー岩陰に辿り着き、私は早速隠れてパーカーのチャックを全開にした。


プニプニの二の腕、はち切れんばかりの胸、水着のボトムスの上にのってる私の1番大嫌いなぷよぷよのお腹とその周り。大きなお尻。
オマケにムチムチの太い足。


「…こんな身体、晒せるわけないのに何で海きちゃったのかな?それに店員さんに乗せられてビキニ買っちゃったし…」


自分の選択に色々と後悔してうずくまり泣いていると、不意に後ろから肩を叩かれる。


「こんな所でどうして1人で泣いてるんだい、ナナちゃん」


えっ、嘘!?この声って!?

私は憧れのあの人の麗しい声とすぐにわかり後ろを振り向いた。そして大きくて子供っぽい彼もいて私は驚き目を見開く。


「…氷室先輩!?それに紫原君まで!?」



34〜37p→氷室サイド
38〜43p→紫原サイド
44pから夢主サイドでお話が進みます。
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