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君がいた夏

第2章  爪痕【赤司征十郎】*裏あり


「ねえ、赤司君。…したことある?」

ナナは俺の耳元で吐息交じりに囁き、俺の上半身を手でゆっくりとさすっていた。もちろん俺の肉欲の塊を目指しながら。


その甘美な声と動作が俺の理性を急速に壊して行く。

「…!まだです」


「そうなの?貴方もてそうなのに」

俺の返答が意外だったのかナナは手を止めて大きな目を更に見開いた。

そして俺は真剣な眼差しと声色で彼女に言い放つ。


「…俺は心から愛する女性に出会うまではしないと決めてるんです」


彼女は口元に手を寄せ可憐な微笑みを浮かべ、俺はまた彼女に見惚れてしまった。

「ふふ、素敵だわ。赤司君に愛される女の子はきっと幸せね」


そして彼女は俺から離れ、背を向ける。


「…なら、こんなとこにいる場合じゃないでしょう?早く帰りなさい」


…いや、もう俺は貴方のことが…!


冷たく突き放す彼女に俺は心に火が付き、無意識に後ろから彼女を抱き締めた。


「…!何をしてるの!?離して!!」


体全体で抵抗する彼女を逃げられないように強く抑える。そして彼女の耳元で甘く囁いた。




「…ナナさん、俺はもう貴方に惹かれてるんです。だから、今夜は俺に体を預けてくれませんか?」




ナナは途端に大人しくなり、俺の方へ振り向いた。



「…本当に私でいいの?もっと若くて素敵な女の子、周りにいるでしょ?」


切なげに不安を漏らす彼女。俺は彼女を優しく包み込むようにまた耳元で囁いた。


「…俺は貴方がいいんです」


そう、いくら年が離れていようが関係ないんだ。
大人なのに今は少女のように儚げな彼女を愛し、抱きたい。

ただ、それだけだった。


そして、俺達はとうとうお互いの唇を重ね合わせた。


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