第3章 はらり

いろいろ言われたけれど、最後は皆に祝福された。

沖田さんも皆の前で私を泣かせるような事はしないって約束してくれた。

沖田さんと想いが繋がっただけではなく、それを皆に認めてもらえた事で私はこの時、幸せの絶頂にいたと思う。

最後まで永倉さんは喚いていたけど………。

それから………平助君は何故か何も言ってくれなかった。

なんだか怒っているような、泣いているような難しい顔をして、結局最後まで私と目を合わせようとしてくれなかった。


此処でお世話になるようになって、一番私を支えてくれていたのは間違いなく平助君だと思う。

皆がまだ私を警戒して腫れ物に触るように接していた頃も、平助君だけはきらきらした人懐っこい笑顔で私を構ってくれた。

「有希」「有希」って私の名前を呼びながら、手を引いていろいろな所へ連れて行ってくれた。

もし平助君が居てくれなかったら、私はどうなっていたか分からない。

先にも進めない、後にも退けない……

その閉塞感に押し潰されて駄目になっていたかもしれない。

沖田さんとの事を一番最初に平助君に伝えたかったな……。

「有希、やったじゃん」って、あのきらきらした笑顔で祝ってもらいたかった。