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薄桜鬼~君ノ記憶~

第8章 時の栞


有希ちゃんが目覚めた時、近藤さんと土方さん、新八さんに左之さん、それに山崎君……それこそ部屋に入りきれない位の隊士達が集まって、皆一様に良かった良かったと笑顔で頷き合った。


でも有希ちゃんは………自分の名前以外……全てを忘れていた。


すぐに松本先生を呼んで診てもらったけど、結果、原因も治療方法も分からない……

精神的な問題だから明日にでも思い出すかもしれないし、このまま一生思い出さないかもしれない……

松本先生はそう言って、有希ちゃんの身体に残る傷だけを手当てしてくれた。

「決して無理をしてはいけないよ。
 此処の人達に甘えて、ゆっくり養生させてもらいなさい。」

松本先生の言葉に、有希ちゃんはほんの少しだけ安心したようだった。


その後、僕達幹部全員は玄関先に横一列に並ばされ、

「市中に名を轟かす新選組の連中が、揃いも揃って何をやっているんだ!!」

と、松本先生に叱り飛ばされた。

「とにかく……これ以上あの娘を傷付けるような事は止めてくれ。」

そう言って頭を下げる松本先生に、近藤さん始め僕達全員が平身低頭するばかりだった。

そして僕達は顔を見合わせて話し合い、それが纏まるとまた全員で有希ちゃんの所に戻った。
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