第7章 星標
………少し、平助の事を考えてみた。
思えば有希ちゃんがこの屯所で暮らすようになってから、一番長い時間を一緒に過ごしてたのは平助だったなって。
よく二人が一緒に居るのを見かけたしね。
有希ちゃんと平助が組んで、左之さん達と雪合戦をしてた時もあったっけ。
でもどうして有希ちゃんと平助が一緒に居ても僕は平気だったのかな?
一君にはあんなに嫉妬したのに………。
平助にしてみたら有希ちゃんは妹みたいな存在で、有希ちゃんに好きな男が出来たなんて事になったら平助は逆に喜ぶんじゃないか…みたいに勝手に決めつけて………
結局、平助を甘く見てたんだろうな……僕は。
もし僕と平助の立場が逆で、平助にそんな風に思われてるって分かったら僕はきっと耐えられない。
有希ちゃんが平助のものになったって告げられて……喜べる訳がない。
……そして僕も平助と同じ事をしてしまうかもしれない。
そこまで考えて僕はぞくっと背筋が寒くなった。
有希ちゃん、君は平助をどうしたい?
勿論、有希ちゃんが平助を殺してくれって言うなら、僕は躊躇いなく斬れると思うけど……でも有希ちゃんがそんな事言う訳ないって分かってる。
だから僕は……きっと平助を許してしまうんだ。
平助を許してしまう、そんな僕を……有希ちゃんは許してくれるかな?
きっとにっこりと笑って頷いてくれるんだろうね、君は。
早く君と話がしたいよ。早く君の声が聞きたい。
ねえ…有希ちゃん……お願いだから……
早く目を開けて………。