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薄桜鬼~君ノ記憶~

第6章 十六夜涙


その後、新八っつぁんと左之さんと呑んでる時にお前の話になって、左之さんは有希に総司は扱いきれないんじゃないかって心配してた。

新八っつぁんも「確かに総司のあの奔放さに有希ちゃんが振り回されちまうかもな…」って不安気だった。

「………じゃあ……俺なら…」って無意識に呟くと、新八っつぁんも左之さんも「ああ…平助、お前なら有希とお似合いだよな」って笑った。

結局最後は二人が好き合ってるなら俺達がどうこう言った所で、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて何とかだって話に落ち着いたけど…………

もう俺の覚悟は完全に揺らいでた。

今からでも俺がお前に想いを告げたら……?

有希は俺を選んでくれるんじゃないのか……?

激しい焦燥感に居てもたっても居られなくて、俺は新八っつぁんと左之さんに適当な言い訳をして店を飛び出した。


本当に想いを伝えたいだけだったんだ。

俺の想いを告げても、それでも尚、有希が総司を選ぶならそれはそれでいいと思ってた。

屯所に戻って、お前の部屋に入って……

俺の身体を拭くお前の手が柔らかくて……

お前の身体からいい匂いがして………

気が付いたら……押し倒してた。

でもまだあの時は止められると思ってたんだ。

だけどお前の口から総司の名前が出て……今、お前の前に居るのは俺なのにって…………理性がぶっ飛んだ。

総司のものになったんなら…もう総司に抱かれてるんなら…

じゃあ一回位、俺が抱いても構わないだろって自分勝手な言い訳を作って…………

結局有希を滅茶苦茶にしちまった。

何やってんだろうな………俺。

「俺…………最低だ………」
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