第4章 闇の彼方まで
少し呼吸が落ち着き始めると彼はゆるゆると起き上がり、慎重に牡茎を私の中からずるりと抜き出す。
お互いの後始末をしようとして、萎えた自分自身が紅く染まっている事に気付いた彼はひゅっ…と息を飲んだ。
慌てて今まで自分自身を突き立てていた場所を見ると、栓を失った其処からはどろどろと白濁が流れ出していて、それにも紅が混じっている。
そして私の内腿にはくっきりと幾筋もの破瓜の証が残されていた。
「何で?………お前……初めて…だったのかよ?」
彼に震える声で問われても、私は何も言えずただぽろぽろと涙を溢す。
「だって……総司とっ!!…………だから…俺は………」
彼の大きな瞳にはみるみると動揺の色が浮かび上がり、顎をがちがちと鳴らして震え出した。
「俺………何て事を………ああ………どうすれば……」
彼ははっと身体を強張らせ自分の着衣を素早く整えると、慌てて私の手首を縛り上げている帯に手を伸ばした。
「ごめん………有希……ほんとごめん……ごめんな…」
譫言のように何度も何度も謝罪を繰り返す彼の真摯な瞳を見て、何故か私はほっと安堵し名前を呼んだ。
「……平助君。」
彼の震える指では固く括られた結び目をなかなか解けない。
「…くっそ………何で解けねえんだよっ……」
「平助君……大丈夫だから………落ち着いて……」
「ごめんな…有希……………ごめんな。」