• テキストサイズ

さよなら4月のドッペルさん【ヘタリア】

第2章 4月の風が靡く頃



ちく、たく、ちく、たく
今頃楽しくお茶を飲んでいる頃だろう、そんなことを考えながら私は壁に寄りかかってたまを撫でながら時計の秒針をひたすらに目で追う。


「入れ替わってみたい」そういわれたときは一瞬戸惑ってしまった。 同じ容姿に同じ声。絶対ばれる筈はないのだから私が躊躇う必要うはない。分かっている。なのにどうしてか「はい、勿論です」そう答えるのに数秒おいてしまった。

彼は私と会ってから家の敷地を出たことが無いのを思い出した。
仕事も、誘われた食事会も、すべて私が出席していた。
こうして家で1人待つのはどれ程つまらないか、寂しいのか、虚しいのか、今やっと気づけた。
一秒一秒が物凄くゆっくりに感じる。

きっと彼も外に出たかったのだろう、そう思うと申し訳なくて堪らない。


今はただ、彼が帰るのを待つだけ。
/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp