第2章 4月の風が靡く頃
それからは本当に楽しい毎日が訪れた。
ただ、外出は出来ないので、家で出来る範囲。
タンポポの綿毛が部屋の中に入ってきた、それだけで2人して柄にもなく小さな子供みたいにはしゃいだり。
一緒にお風呂に入って晩酌、ついでに少々の不平不満の愚痴を零したり。
ぽちくんとたまを抱えて腹話術ごっこなんてしてみたり。
寝る前にアニメ関連のワードだけでしりとりをしてみたり。
本当に、本当になんでもないことでも楽しかった。
私以上に私を、彼以上に彼を理解しているから、安心して自身を委ねらる。
だけど私は気づき始めた。
彼の声が遠くなっていく。