第7章 帰還
エルヴィンから放たれる冷たい眼光で見られ、少し恐怖を感じた。
言われた通り、医療班の班長である自分が素人の兵士3人だけを残して1晩中テントを離れるのは本来ならばしてはならない。
「申し訳ありません。
ただ…少し休憩をしたかったのは事実です」
「コルネリア、君は壁外調査前に言っていた事を覚えているのかい?」
「例え3人が拒否して私1人で医療班を務めると言った事ですね」
エルヴィンの前に立ち、冷静にコルネリア答えているつもりだが、内心怖かった。
これを機会にリヴァイとの接触を許さないと言われる可能性もある。
「覚えているのだったら、尚更君には処罰を受けて貰わなければならない」
「エルヴィン、こいつは悪くない」
突然今まで静かに聞いていたリヴァイが口を挟んできた。
「何故そう思う」
「まずこいつがテントを離れた理由は俺がテントから離れていたからだ。
そしてもう1つ…」
リヴァイはチラッとコルネリアを見て続きを話した。
「俺がこいつを離さなかった」
「違います!
私は私自身の気持ちで戻る事をしなかっただけです」
「それを強引にでもテントに連れて行かなかった俺にも責任がある」
「兵長は関係ありません!」
「まあまあ、落ち着きなさい」
エルヴィンは咳払いをしながらリヴァイとコルネリアを交互に見ると冷たい言葉を放った。
「今の会話からすると、2人共に原因があるようだ。
リヴァイ、君にも処罰を与える」
「そんな…兵長は悪くありま…」
「コルネリア、冷静に考えるんだ。
壁外調査はお遊びでもないし、デートでも無い。
君は班長であるし、リヴァイは兵士長だ。
役職が与えられた兵士にはそれなりの処罰を与える。
兵士である以上、当然の事だ」
コルネリアはリヴァイのほうを見ると、何事も無かったかのようにいつもの表情をしていた。
こういう事に慣れているのか分からないが、心はどんよりとした。
訓練兵時代でも処罰を与えられた事が無かった為か、何を言い渡されるのか正直怖い。
「処罰に関しては後で話す。
今度はハンジの番だ。
リヴァイとコルネリアは私室に戻りなさい」
「分かりました…」
そう言って執務室を出るとリヴァイも一緒に廊下に出た。
私室に戻るまでの間2人は一言も話さず、そしてそのまま1人だけで私室へと入った。