第7章 帰還
「そういえばお前は鈍感だったな」
サラッと言うリヴァイを見て少し不機嫌な顔を見せるとリヴァイは少し微笑んだ。
「自分でも知らねぇ間にお前の事にはまったな」
「はまった…?」
コルネリアが聞くとリヴァイは軽く唇にキスをしてきた。
「とりあえずさっさと行くぞ」
そう言って足早に歩き始めたのでコルネリアも少し小走りになりながらついて行った。
暫く歩いているととある住宅街に着き、そしてその中の1件の家の前で止まった。
「ここだ」
そう言われ慌ててジャケットから手紙を出すと、手が震えていた。
それを見たリヴァイは手紙をコルネリアから奪おうとしたが、拒否する。
「私の役目ですので私が行きます」
そして深呼吸をしてドアをノックすると中年の女性が現れた。
「どなたですか?」
「私は調査兵団の者です。
息子さんからこの手紙を預かったので渡す為に伺いました」
手紙を差し出すと女性は目を丸くして受け取り、急いで手紙を読み始める。
読んで行く内に女性の目から涙が溢れてきた。
「あの子は…人類の役にたったのでしょうか…?」
「勿論です。
私は医療班に所属しており、可能な限り処置を施しましたが…
私の不甲斐なさをお許し下さい…」
「貴方が謝る事ではありません。
むしろ私が謝らければなりません…
手紙を届けて下さって有難うございました」
深くお辞儀をする女性を見て胸が痛んだが、コルネリアもお辞儀をしてその場を立ち去った。
そして住宅街から出て少しした所で涙を零した。
「私はどうしても自分が許せません…」
リヴァイは立ち止まると優しくコルネリアを抱き締める。
「お前は悪くない。
あいつは安心したような顔で眠ったと聞いている」
「でも…!
私は何も役に立てなかった!
痛みから解放させる為に最後の手段を選んでしまいました!
私は…テントを離れるべきで無かった…」
取り乱しながら泣きじゃくるコルネリアを見てリヴァイは優しく涙を拭った。
「この兵団に居る限り、皆辛い思いをする。
特に医療班は負傷者を生かす為に必死に治療をするが…
それでもどうしようも無い事だってある」
リヴァイは優しい声で語りかけながら、どんどん流れてくる涙を拭い続けた。
「兵長…教えて下さい…
巨人を倒しても数が減らないのは何故ですか?」