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貴方を守る

第1章 憧れの人


「あの、先程兵士長が言っていた事はどういう事ですか?」

コルネリアは恐る恐るハンジに聞くと考え込む様な仕草をして答えた。

「エレンが巨人化出来るのは知ってるよね?
あの子はリヴァイ班と言ってリヴァイ自身が選んだ兵士が所属する班に入る事になったんだよ。
ざっくり言ったら、もしエレンが巨人になって暴走したら対処出来るのはリヴァイしか居ないって事かな」

「では兵士長は暫くは旧兵舎に行くという事ですか?」

「そうなるね」

それを聞いてコルネリアは少し寂しく感じた。

リヴァイに憧れて調査兵団に入ったのに、会って早々兵舎が別になるとは思っていなかった。

「どうかした?」

俯いているコルネリアの顔を覗き込む様に見てきたハンジに驚き、慌てて「何でもありません」と答える。

「ところで、医療班の班長はどなたになるんですか?」

「あー…その事なんだけど…」

少し罰が悪そうにハンジは答えた。

「実はね、今医療班が居ないんだ」

「へっ…?」

予想外の返事に呆気に取られているとハンジは苦笑いする。

「この前の壁外調査が壊滅的でね。
医療班までもやられちゃったってわけ。
だからコルネリアを医療班にしようって思ったんだよ」

「それって…まさか私1人しか居ないという事ですか?」

「そうなっちゃうね。
だから君には期待してるんだよ」

その言葉はコルネリアの心を憂鬱にするには十分だった。

「でも心配しなくて大丈夫!
私が居るから困った時は頼ってね!」

ハンジは笑顔で言っているがそれよりも心配な気持ちが上回る。

医療班が新兵である自分1人しか居ないのは無茶にも程があった。

「壁内に居る時は訓練以外で怪我人が出る事はまず無いから大丈夫だよ。
ただ壁外に行くとなると1人では大変だろうから、一応何人か兵士を医療班に付けるけど、指揮を取るのはコルネリアだから頼んだよ!」

そう言いながらハンジはコルネリアの肩をガシッと掴み目をギラギラとさせる。

リヴァイの姿を見れなくなるのも寂しいが、それ以前に目の前に居る人物の姿が妙に怖い。

「とりあえず荷物整理をしないとね。
何かあったら呼びに来るから、それまでこの部屋でくつろいでて」

それだけ言ってハンジは部屋から出て行った。

そして誰も居なくなった部屋でコルネリアは思わずため息を漏らした。
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