第1章 憧れの人
「ここが君の部屋だよ」
ハンジがドアを開けて入ると広々とした部屋に少し大きなベッドと浴室があった。
「他の104期の子には申し訳無いけど、きちんとした理由があるからね。
他の塔は班長以外は相部屋だし鍵も付いていないから簡単に個人情報が漏れる。
そうなったらエルヴィンの責任問題にもなるし、この兵団の存続自体が危うくなるんだよ」
苦笑いしながら話すハンジとは対称的にコルネリアは開いた口が塞がらない状態だった。
「幹部塔は皆こういう部屋なんですか?」
「執務室以外はそうだね。
でも私室はエルヴィンとリヴァイ以外は大体同じかな~」
「やはり団長と兵士長だからですか」
「そりゃそうだよ。
何せここのトップだからね。
簡単な造りではあるけど給湯室もあるかな」
「…凄いですね」
するとハンジはコルネリアの背後に周り込み突然抱き付いてきた。
「この塔に女子が来たのは嬉しいよ~!
他は男しか居ないからむさ苦しくてさ。
しかも、私の事を女って認めてくれない奴もいるし」
「えっ、ハンジ分隊長って女なんですか!?」
「ちょ…まさかコルネリアも私の事男だと思ってたの!?」
「しょうがねぇだろ。
どっからどう見てもお前は女には見えん」
いきなり聞こえてきた声にハンジとコルネリアは驚いて部屋の入口を見ると、リヴァイがしかめっ面で立って居た。
「リヴァイ…何であんたがここに居るの」
「俺の部屋はここの奥だろ」
「あー!そうだった!
でももう他に部屋無いんだよね…
コルネリア、本当に申し訳無いんだけどここで我慢してくれない?」
懇願してくるハンジにリヴァイが話しかける。
「てめぇ…それはどういう意味だ」
「リヴァイの私室の近くは誰だって嫌だよ」
「奇行種の近くも嫌だがな」
そう言われてハンジは何か思い出した様に話した。
「そう言えばもうそろそろ向こうに行くんだったよね?」
「それがどうした」
「あ…あの…」
コルネリアをそっちのけで会話する2人に勇気を振り絞って話しかけるとハンジが気付いた様に説明した。
「エレンの見張りの為に今日からリヴァイ班は旧兵舎に行くんだよ」
「見張り…ですか?」
訳が分からずにリヴァイの方を見ると眉間に皺を寄せていた。
「上からの命令だ」
そう言ってリヴァイは私室へと歩いて行った。