第6章 壁外の現実
そしてそのままコルネリアとリヴァイは木の根元で一夜を過ごした。
何をする訳でもなく、ただ単に2人で居たかった。
さすがに昼間で体力を消耗していたので少し仮眠をしては起き、そしてまた仮眠をしては起きの繰り返しだった。
「やっぱここに居たんだね」
2人揃ってうとうととしていると突然目の前にハンジが現れた。
「そろそろ戻らないとエルヴィンに怒られるよ?」
「もう朝か」
リヴァイの言葉を寝ぼけ半分で聞いていると脇を掴まれて立たされる。
「テントに戻るぞ」
そう言われ、手を引っ張られながらテントへと戻った。
戻る道中ある事にコルネリアは気付いた。
「負傷者の手当てをしなければ!」
「それなら大丈夫。
私がしておいたから」
ニッコリと笑いながらハンジを見て少し驚いた。
「これでも一応分隊長だし、それに巨人の構造と人間の構造は多少違うだけでよく似てるからね」
「巨人と似ているんですか?」
初めて知った事実に思わず目を見開く。
「まだ分からない事が多いけど、少なくとも今までの研究結果から考える限り多少は似ているんだよ。
まあ、人間にはある内臓が巨人には無いってのが多いけど、これでも少しは医学をかじってはいるからね」
楽しそうに話すハンジを見て少し安堵した。
リヴァイは聞いているのか聞いていないのか全く反応を示さなかった。
テントに着くと医療班の手伝いをしてくれている兵士がコルネリアの所で来た。
「コルネリア、大変だ」
「どうされたんですか?」
「その…」
兵士が言い難そうにしているのを察知してリヴァイは手を離してハンジと共にエルヴィンがいるテントへと向かって行った。
それを確認して兵士は言葉を続ける。
「昨晩、コルネリアが居なくなってからハンジ分隊長が現れて、変な薬を…」
その言葉を聞きコルネリアは急いで負傷者を収容しているテントへと走った。
中へ入ると重症を負っていた筈の兵士が元気に歩いていた。
「嘘…あんなに重症だったのに…」
「元気になったのは分隊長が妙な薬を注射して少し経ってからだ。
何の薬か聞いたら『痛み止め』だと」
するとコルネリアはエルヴィンのテントに居るハンジの元へと向かった。
「失礼します」
返事を待たずに入ると幹部が揃っており、突然現れたコルネリアに驚いた。