第1章 憧れの人
次々と名前を呼ばれて班が決まって行く中、なかなか自分の名前が呼ばれない事にコルネリアは少し戸惑った。
「んーと、これが最後だね。
コルネリア・ドリスは居るかな?」
「私です」
そう言ってコルネリアは1歩前に出て敬礼をした。
「なるほど、君がコルネリアだね。
君も普通の班に入れようと考えたんだけど、訓練兵の時の成績を見て考慮させて貰ったよ。
君は医療班に行ってもらう」
「医療班ですか…?」
「うん。
君は人体の構造や万が一何かあった時の処置に関しては他の兵士と比べて、ずば抜けて優秀なんだ。
勿論、医療班だって巨人が近づいてきたら交戦する事にはなるけど、大体は他の班が始末するから怪我人の手当てを優先して欲しい。
怪我をしてそのまま適切な処置が出来なくて死んでしまう兵士も居るから、君の医療技術には期待してる」
ハンジは笑顔を見せて話したがコルネリアは呆気に取られていた。
「あ、医療班でも訓練はして貰うからね」
「わ…分かりました」
普通の班に所属する物かと思っていたので動揺を隠せないでいた。
所属班の発表が終わると部屋へと案内された。
基本幹部以外の兵士は男と女で塔が分けられる。
その理由は青春真っ盛りな男女が同じ塔に居るのはあまり良く無い為だ。
そして一兵士は基本相部屋になる。
「ちょっとコルネリアはここで待っててね」
ハンジに言われ女子の居住塔の入口で待つ事になったコルネリアは少し不安になった。
自分だけ医療班に所属する事になったのもあるが、そうなればリヴァイに会う事は殆ど無いだろう。
リヴァイが居るという理由で調査兵団を選んだが、これではあまり意味が無い。
暫くするとハンジが戻ってきた。
「コルネリアは幹部塔に案内するね」
「か…幹部塔ですか!?」
ハンジの言葉に驚くとハンジはケラケラと笑った。
「医療班は少し特別でね。
兵士の個人情報を漏らしたらいけないから、鍵がついている幹部塔の部屋じゃないと困るんだよ」
そう言いながらさっさと歩くハンジの後ろを少し小走りになりながらもついて行った。
「ここだよ」
そう言われて塔を見ると他の兵士の塔とあまり見た目は変わらなかった。
塔の中に入ると窓から射し込む太陽の光で廊下は明るい。
階段を上ると3階のとある部屋に案内された。