第5章 壁外前
その夜ベッドに入るとリヴァイに抱きつかれた状態で寝るはめになった。
これでは完全抱き枕状態…
そう思いながらも自然と眠りに落ちた。
翌日、朝起きるとリヴァイは既に兵服に着替えていた。
「おはようございます」
そう言って起き上がるとまだベッドに座っているコルネリアの横に兵服をバサッと置かれた。
「早く着ろ。
もう朝食の時間が終わる」
それを聞いて時計を見ると絶句した。
急いで顔を洗い兵服を着ると2人揃ってバタバタと廊下を走り食堂に向かった。
そしてギリギリの所で朝食に間に合い、テーブルに朝食を持って座るとようやく安心した。
「どうして起こしてくれなかったんですか?」
「俺も起きた直後だったからな」
「それなら起きた時に私も起こしてください」
少し怒ったように言うとリヴァイは少し笑った。
「お前の寝顔を見ると起こしたくなくなる」
「それ、どういう意味ですか!?」
「それはズバリ!
コルネリアの寝顔が可愛かったんでしょ?」
いきなり現れたハンジに驚き口に含んでいたスープを吐き出しそうになる。
「ハンジ…お前は余計な事を言うな」
「あれ~?
もしかして図星…ガフッ」
リヴァイに腹を蹴られて痛そうに腹を摩りながら座ってきた。
「で、初めて一緒に寝た感想は?」
目をキラキラさせながら聞いて来られて返事に困ったが、ハンジとは反対の隣に座っている彼は答える気配を見せない。
「そうですね…普通でした」
「普通!?
何もしてないの!?」
「黙れ、奇行種」
驚いて大声を出したハンジに向かってようやく口を開いたリヴァイはハンジを見る事なくパンを食べていた。
「ねぇ、本当に何もしてないの?」
「はい。
一緒にお風呂には入りましたが、後は普通に寝ただけです」
そう答えるとわざとらしく大きくため息をつかれた。
「ねぇリヴァイ…初めて恋人と寝るのに何も感じなかったの?」
「何がだ」
「だから、こう…ムラムラ~とかさ」
「朝っぱらからそんな話する馬鹿はお前だけだ」
リヴァイとハンジのやり取りを間に挟まれた状態で朝食を食べながら聞いていると、どんどんエスカレートしてきた。
とりあえず食べ終わるとコルネリアは無言で立ち上がる。
「少し医務室に用事があるのでお先に失礼しますね」
それだけ言って食堂を出た。