第4章 会いたい人
エルヴィンの執務室にいた時間は短かったが、リヴァイはまだ話があるという事で1人で私室へと向かった。
その道中誰にも会わなかったのは不幸中の幸いだ。
私室に入りドアを閉めるとそのままベッドに倒れ込む。
「知性のある巨人…」
先程聞いた時はただ驚いただけだったが、今思えばどこかで聞いた事がある気がした。
エレンがその能力を持っているのは当然知っている。
それ以外にも知っているような知らないような…
何か引っかかる物があったが思い出せずにいた。
暫く考えているとドアがノックされ返事をして鍵を開けるとリヴァイが無言で入ってきた。
「これがさっきエルヴィンが言っていた今回の医療班の手伝いをする兵士だ」
「有難うございます」
そう言って渡された紙を見ると名前が書かれているが、まだ調査兵団に入って1ヶ月。
名前だけでは全く分からなかった。
「名前だけ見ただけじゃ分からねぇだろ」
「そうですね」
苦笑いしながら答えるとリヴァイは机に座りペンと紙を取り出して何かを書き始めた。
それを覗き込むと思わず笑ってしまった。
「どうした」
「兵長、今書いているのはもしかして似顔絵ですか?」
「それ以外に何がある」
そう言いながらもまだ書き続ける彼を見て笑いが止まらない。
そうこうしている内に書き終わったらしく、堂々と紙を渡してくるが受け取って見てみたら、笑いは収まるどころか更に酷くなるだけだった。
「それを見たら誰か分かるだろ」
「へ…兵長…これは…駄目です…」
笑いすぎて涙が出て腹まで痛くなってくる。
「どこが駄目なんだ?」
「これ…ぜ…全部…兵長…みたい…」
そう言われてリヴァイは自分で書いた似顔絵を改めて見るが分からない様だった。
「似ている筈だが…」
「だって…目が…兵長そっくり…」
似顔絵もどき物は髪型がどうにか違うだけで目はリヴァイそのものだった。
コルネリアがあまりにも笑っている光景が新鮮だったのか、隣に立って居る彼の口元が少し緩む。
「今、笑いました?」
どうにか笑いを抑えなければ…
そう思って話題を逸らすがこの紙がある限り我慢の限界にすぐ到達してしまう。
するとリヴァイは紙を取り上げて机に置くと笑いが止まらないコルネリアをベッドに連れて行く。
そして押し倒された所でやっと笑いが収まった。