第4章 会いたい人
爽やかに笑顔を見せて言うエルヴィンを目だけで見てため息が思わず出そうになるが、寸前で止めた。
「あの…ここに来た理由は何ですか?」
「君を呼んだのは私だよ」
エルヴィンはそう言うと椅子に座ったまま笑顔を崩さずにいる。
「3日後の壁外調査での医療班の事なんだが、かなり死傷者が出る。
それで、本来なら2人程兵士を医療班に回したいんだが、3人にしようと思う」
説明を始めるエルヴィンは笑顔から団長の顔へと変わった。
「その事でしたら私は構いませんが、他の班への支障が出るのではありませんか?」
「勿論出るだろう。
だが今回の壁外調査はただの調査では無い」
隣に座っているリヴァイは先程と姿勢を変えずにただ聞いていた。
「以前からなんだが…妙な巨人…いや奇行種が居てね」
「妙な…ですか?」
それを聞いて姿勢を正してエルヴィンの方を向くとこちらをジッと見ていた。
「情報によると知性を持っている可能性がある」
「巨人がですか?」
エルヴィンの言葉に驚きながらも表情に出さずに聞き返すと続きを話してくる。
「今まで様々な奇行種に出くわした事はあるが、その奇行種だけは違う。
分かり易く言うとエレンと同じような物だ」
「!!」
その言葉に声を失った。
何も言えずにいるとリヴァイは上体をソファーから起こした。
「つまり、そいつを捕まえる」
リヴァイも先程とは全く違う兵士長としての顔でこちらを見てきた。
「という事は…エレンの他に巨人化出来る人間がいるという事ですね」
「そういう事だ。
ハンジやミケとも相談したんだが、その巨人を捕獲しようと考えている」
「捕獲…ですか…」
それだけ呟いて頭を働かせる。
捕獲となると自ら囮になる兵士も出てくる。
そうなれば負傷どころか死者の人数も増えるだろう。
その場合医療班はかなり忙しくなる。
「君は班長として、今回の作戦をどう思うかい?」
エルヴィンは先程から目線をこちらから離さずにいる。
つまり、自分の考えを読もうとしている。
「今回の作戦立案は団長がされたので、私はそれに従います」
見つめてくるエルヴィンの目線に負けない様に自分もエルヴィンから目線を離さずに答えると安心した様に微笑んだ。
「その言葉を聞いて安心したよ。
手伝いの兵士は後でリストにして渡そう」
「分かりました」