第4章 会いたい人
夕食を2人分持ってきてくれたリヴァイにお礼を言って受け取ると、凄まじい視線の嵐を感じた。
「兵長…」
「分かってる。
ほぼ全員がこっちを見ているな」
視線をグサグサと浴びながらなるべく他の兵士を見ない様に食べようとするが、落ち着かない。
目の前の彼を見ると気にしてない様子ではあったが、眉間に皺が寄っている辺りから、やはり気になっている様に見えた。
「さすがにこの環境だと食欲が湧きません…」
「とりあえず食えるだけ食え。
食った後はエルヴィンの所に行くぞ」
「団長の所ですか?」
何でだろうと考えているといきなり一口大にちぎられたパンを口に押しこめられた。
「俺だって我慢して食ってるんだから早くしろ」
「はひ…」
どうやら考えている途中で食べる手が止まっていたらしく、スプーンですくっていたスープは野菜だけになっていた。
早く食べる方法はただ1つ。
パンとスープを一緒に口に放り込む!
訓練兵の時は食事をする時間が限られていた為、元々食べるのが遅かったのでミカサが教えてくれた方法だ。
こうすればスープが口の中で硬いパンは水分を含んで柔らかくなり飲みこみ易くなる。
その方法で一気に食べるとちょうどリヴァイも食べ終わり、まだ刺さってくる視線を背中で感じながら食堂を出た。
食堂を出ると緊張感から解放され一気に脱力感が押し寄せてきた。
「どうした」
それを察知したのかリヴァイが心配そうに聞いてきた。
「何か凄く疲れました…」
「今から疲れてどうする。
エルヴィンの所に行ったらもっと疲れるぞ」
そう言いながらリヴァイは肩を貸してくれ、フラフラしながらエルヴィンの執務室へと向かった。
到着しても尚フラフラ状態だった為リヴァイに身を任せたまま部屋へと入る。
その光景を見てエルヴィンは少し驚いていた。
「どうしたんだい?」
「夕飯を食べている間視線の嵐で、食堂から出たらこのザマだ」
コルネリアの代わりに説明してくれ、そして無言でソファーに座らされた。
「もしかして付き合ってる事を公表したのか?」
「あぁ」
リヴァイは隣にドカッと座り両腕を広げて上を向く。
「さすがにあの視線の嵐は俺もきつい」
食堂では気にしている様子を見せていなかったが自分と同じ気持ちだったらしい。
「兵士長と新兵のコンビだから仕方無いだろう」