第4章 会いたい人
「リヴァイ、口喧嘩するのは良いが、恋人の目の前ですると怖がって逃げてしまうよ」
「うるせぇ。
こいつがコルネリアを離さねぇからだ」
「そうやってまた人のせいにする気!?」
目の前にリヴァイ、そして後ろから抱き付いている状態のハンジ。
つまり、今自分は間に挟まれている状態だ。
「まぁまぁ」
エルヴィンは間に入り2人を制する。
「とりあえず2人共落ち着こうか。
君達の間に挟まれている彼女の存在は忘れていないかな?」
それを聞いた2人は自分の存在にやっと気づいた。
というより、気付かない方がおかしい…
エルヴィンをかわし、抱き付いているハンジを押し退けリヴァイはコルネリアの腕を掴んで「行くぞ」と言って、本来の目的である食堂へと向かった。
食堂に近付くにつれて兵士達のガヤガヤとした声が大きくなってくる。
食堂までもう少しという所である事に気付いた。
「兵長、腕を離してくれないと…」
「気にするな」
「いや、兵長は気にしないかもしれませんが、私は気にします…」
そう言うと腕を掴んだまま立ち止まったかと思うとこちらを見ずに聞いてきた。
「俺と付き合ってる事がバレるのは嫌なのか?」
「そういう訳ではありませんが…」
そう答えるとまた腕を掴んだまま歩き出す。
この状態で食堂へ入ると兵団全体に付き合っている事が知れ渡るが、リヴァイはもしかしたらそれが目的なのかもしれない。
そして案の定、腕を掴んだ状態で食堂へと入った。
リヴァイと一緒に入るとリヴァイの存在に気付いた兵士達は憧れていた人を見るような表情をしたが、直ぐに自分が掴まれている腕を見て驚いた表情へと変わる。
相変わらず気にしないリヴァイとは正反対に恥ずかしく思えてきた。
「あ…あの兵長…何故腕を掴んで…」
「恋人だ」
勇気を振り絞って聞いてきたであろう兵士に向かって、躊躇なく答えている。
終わった…
ミカサには付き合っている事を言ったが、他の人には秘密にしていた。
それが今恋人であるリヴァイによってバラされた。
嫌な予感しかしないが、今は彼に任せる他ない。
「何か問題あるのか?」
「い…いえ…何もありません」
兵士は2人から目を離すと黙々と夕食を再開する。
そして食堂の奥へと進み、空いていた席を見つけるとリヴァイは2人分の夕食を持ってきてくれた。