第4章 会いたい人
「もう業務時間は終わっただろ」
何も突っ込む事が出来ずにポカンと口を開けた状態のコルネリアに気にする事なくリヴァイは腕を掴み入口のドアを開けた。
「晩飯食うぞ」
それだけ言って食堂のほうへと引っ張られる。
「あ…あの、この本を部屋に置いて行きたいのですが…」
そう言うといきなり方向転換して幹部塔のほうへと向かい始めた。
少しよろめいたがどうにか踏み留まり、ぐいぐいと引っ張られる。
そして部屋に着くと「置いて来い」と腕を離されたので部屋を開けて机に本を置き、廊下に出てそのままリヴァイの元へと行く。
「お前…」
眉間に皺を寄せながらコルネリアの部屋のほうに向かって指をさされる。
「鍵ぐらい閉めろ」
「鍵…ですか?」
「お前、鍵閉めないのか?」
「あー、鍵を閉める必要が今は無いので」
苦笑いしながら答えるとリヴァイは怪訝そうに言った。
「何の為に幹部塔で過ごしてるんだ」
「医療班の班長ですから…」
ため息をつきながらリヴァイは答えた。
「鍵を閉めないのなら幹部塔に住ます訳がねぇだろ。
もし重要書類があって、それを誰かが盗んだらどうなるか分かってんのか」
「…すみません」
少し怒られて憂鬱になりながらも持っていた鍵でドアを閉める。
そして2人で食堂へ向かった。
食堂までの道のりは無言だったが、着く寸前で後ろからいきなり抱きつかれる。
自分に抱き着いてくる人は1人しか居ない。
「ハンジさん!
驚かさないでください!」
「いや~、2人で並んでる姿を見るのは初めてだからさ!
思わず抱き付いてしまったよ~」
「てめぇの頭は抱き付く事と巨人の事以外無いのか」
睨みつけながらリヴァイが言うと気にする事なく抱き付いたまま答えた。
「だってコルネリアの姿を見ると可愛くて仕方が無くてさ」
「こいつに気安く触るな」
「何で?
あ、もしかして嫉妬?」
ニヤニヤしながら言うハンジの足にめがけて蹴りを一発お見舞いすると、抱き付いていた手はそのままでコルネリアも巻き添えを喰らって廊下に尻もちをつく。
「リヴァイ!
そんな事したら大事な恋人も倒れるでしょ!」
「てめぇが手を離さないのがいけねぇんだろ!」
そしていつもの口喧嘩が始まった。
すると後ろから足音が近づいて来るのが聞こえ、振り向くとエルヴィンの姿が見えた。