第3章 地位の確立
夕食の時間になりミカサと2人で食堂に入ると既に食事をしていた兵士達が一斉にこちらを見てくる。
ミカサは気にする素振りを見せずにそのまま席に座り、コルネリアも隣に座って夕食を食べ始めた。
するとひそひそと兵士達の小声が嫌でも聞こえてきた。
「新兵なのに班長ってどうよ」
「医療班がいくら1人だからって新兵の指示で動くのは正直気が引けるね」
「さっきの講義は分かり易かったけど、俺達には関係ないよな」
聞こえてくる言葉は褒め言葉は一切無く、愚痴とも取れる内容だらけだった。
我慢して食べているとミカサが急に立ち上がり、先輩にあたる兵士の元へ行き冷たい言葉を放った。
「貴方達はあの子の気持ちが分かってるんですか?
右も左も分からない私達新兵にとって1人で医療班を任せられるという状況がどんなに荷が重いのか分かりますか?
コルネリアはそれを覚悟して医療班の班長を引き受けています。
嫌なら貴方達が医療班に入れば良いでしょ。
まぁ私が負傷したら、貴方達が処置をするのは断固拒否しますけどね」
「新兵の癖に生意気だな」
大柄の兵士が1人立ち上がる。
「お前らは壁外がどんな物か知らねぇからそんな事言えるんだろ。
巨人に遭遇した事も無いお前なんか…」
「巨人には遭遇した事あります」
兵士の言葉を遮るようにミカサは答えた。
「私はシガンシナ区出身です。
巨人が家族を食べる所も見ました。
それでもそんな大口を叩けますか?
もし、気に入らなければ私と一戦やります?」
「お前の名前は何だ」
「ミカサ・アッカーマン」
「何…だと…」
ミカサが名乗ると兵士は少し後ずさりをした。
「どうかなされましたか?」
「お前…104期を首席で卒業した奴か。
1人で100人分の力があるっていう…」
それを聞いたミカサは更に兵士に近付く。
「100人かどうかは知りませんが、私は貴方を殺すぐらい簡単に出来ます」
「ちょっとミカサ!
もうこれ以上は…」
あまりの剣幕にコルネリアはミカサをなだめようとしたが、意味が無かった。
「コルネリア、今すぐブレードを持ってきて」
「ミカサ!」
食堂の中は凄然としている。
するとハンジが意気揚々と入ってきて、少し驚きながらも状況判断をし近づいてきた。
「喧嘩かな?
言っておくけどミカサは新兵だけど君達は勝てないよ?」