第11章 病院
「……え?」
松本さんは間抜けな声を出して、ぽかんとしていた。やめろ、変な顔すんな。
「いや、待ってなにそれ、ナースをメロメロにしたいってか」
「うわっ、自分かっこいいとか思ってんですか。正直言ってキモいです」
松本さんがこんなにナルシストだとは思わなかった。いや、思ってたかもしれないな。内心。
「じゃあなんで呼びたいわけ?」
「セクハラ」
さっきから手をさりげなく掴まれてるんですよ。私が嫌だと言えばなんでもセクハラになる時代なんだぜ。
「……っは!?」
「よし呼びましょう」
「待て待て待て待て!!」
止められた。ひどい。患者の危機だぜ。ナースコールするのは間違ってないんだぞ。
「お、俺が変な人だと思われるだろ。俺はロリコンじゃねえ」
「なら手を離してください」
「……わーったよ」
手を離された。こうして私は解放された。