第2章 02.紫と甘い香り
紫原side
ぎゅっと小さな体を抱きしめると、甘い香りがした。
「いい匂い・・・俺の好きな匂いだ~」
クンクンと彼女の匂いを嗅ぎながら、もしかしたら舐めても甘いんじゃないかという考えが浮かび、ペロリと首筋を舐めてみた。
「ひゃっ・・・!!」
「んーあんまり甘くない?」
「当たり前だよ!!」
残念。
でも、本当にこの甘い香りはすき。
「私はお菓子じゃないんだから!」
「うん、知ってるよ~。
俺、お菓子大好きだけど、人間までお菓子だとはさすがに思わないし~」
「じゃぁ、なんで・・・」
「んー、お菓子と同じように小春ちんが好きだから、俺の好きな小春ちんは甘い匂いするし、体まで甘いもので出来てるんじゃないかな~ってさ~」
「・・・っ」
ちらりと彼女の様子を伺うと、俺の腕の中で真っ赤になっていた。
なんだか、いい気分かも。
「なんか、立ってるの疲れた~」
そういって、彼女を抱きしめたまま床に座ると、彼女が俺に寄りかかる体制になり、その重さがなんだか心地よかった。
「紫原くん・・・離して・・・」
「えーやだ~」
「お願い、じゃないと私、パンクしちゃう」
「意味わかんないし~」
「だから!紫原くんのことで頭がいっぱいなの!」
ぐっと俺から体を引き離すそうとする、彼女の顔はまるでゆでダコのようだ。
かわいい~
食べちゃいたいなぁ
彼女が体を離そうとする力に負けじと力をこめ、彼女を腕の中に止めさせる。
「だめ」
そして、耳元に口を寄せ、彼女へのお願いを吐いた。
「俺以外にお菓子作らないでよ」
「・・・・・・ッ」
「まぁ、プロとかになちゃったら、仕方ないんだけどね~」
「うぅ・・・」
恋愛なんてめんどくさい。
相手に束縛されなきゃなんないんでしょ~?
とか思っていた。
けど、小春ちんと過ごせて、小春ちんが作ったお菓子食べれるなら悪くないかも。
「小春ちん、好きだよ~」
「・・・も」
「ん~?」
「私もすきっ・・・かもしれない」
「ふ~ん」
大好きなお菓子の甘い香りをさせて、大好きなお菓子を作る彼女は、俺にとってお菓子そのもので、
まぁ、つまり小春ちんは正義ってことかな~
もう他の奴にはあげないよ~