第19章 ずるい女でごめんなさい【青峰】
ぼんやりと帰宅した青峰は自宅で寝転がっていた。
脳裏には傷ついた表情の理央奈がちらつく。
「なんで、そんな顔するんだよ…」
ガキにしか見てない。
そう言葉をぶつけた時、明らかに彼女は動揺した。
それがどういう意味なのかはわからない。
しかし、それが自分の望む理由ではないことは分かっていた。
「…分かってるんだ」
彼女が自分なんか見ていないことも。
先程の言動は彼女への八つ当たりだということも。
誰よりも、青峰自身が理解している。
だから尚更苦しいんだ。
「理央奈、俺は…」
自覚した。
ようやく、この気持ちに確信が持てた。
そのきっかけが、彼女への八つ当たりだというのがなんとも情けないが。
しかし自覚したからといって、これから何をすればいいのか青峰にはわからない。
いっそこの想いをぶつけてしまおうか。
そう思ったとき、家のチャイムが鳴り響いた。
今自宅には彼1人しかいない。
つまり青峰が応対するしかなく、仕方ないとベッドから起き上がった彼はろくに相手を確認せず、玄関のドアを開ける。
そして目を見開いた。
「…こんばんは」
「な、んで…」
そこには少し緊張した面持ちの理央奈がいたから。
時計を確認するとあと少しで今日が終わろうとする時間。
こんな夜更けにわざわざ自宅にまで来て何の用なのだろうか。
とりあえず立ち話もなんだからと中に招き入れ、彼の部屋まで案内する間、青峰の心臓は尋常じゃなく高鳴っていた。