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短編集【黒子のバスケ】

第19章 ずるい女でごめんなさい【青峰】


「久しぶり!」
「…理央奈」

自分の居場所を打ち込んだ数分後、校門前に来いと言われた青峰はそこで彼女と久々に顔を合わせた。

公園で会った時と同じ笑顔を浮かべている理央奈。
なのに、先ほどまで考えていたことのせいか、その笑みすらも青峰にはどこか違うものに見えて。

やや顔をそらして返事をし、つかつかと歩き出すと何も気付いていない彼女は走って彼の隣に並んだ。

「数日しか経ってないのにまた大きくなった?」
「…気のせいだろ、別に伸びてねぇよ」
「そっかぁ…私が懐かしがってるだけか」

横で小さく笑みをこぼす理央奈は、近くで見るとやはり大人っぽい顔つきになっていた。
瞳は少し細くなり、笑みにも昔にはなかった包容力がある。

「変わったのはお前だろ」
「…え?」

だから、辛いんだ。

「お前が変わったから、俺が違う風に見えるんだろ」
「大輝…?」
「大人になっちまったから…俺なんかガキにしか見えないから、そう言うんだろ!」

お前の言葉が、行動が、俺を恋愛対象として見てないと示していて。
昔と変わらぬ思いを持っているのは、俺だけという事実を突きつけるから。

「大輝、私は…」
「っ、…」
「大輝!!」

理央奈の口からそれを告げられるのが怖くて、青峰はその場を走り去った。

何も出来ず、何も言えない理央奈は止めようと伸ばした右手を見つめ、やがて軽く握る。


「違う、違うの大輝…」


伝えたいのに伝えられないもどかしさが彼女を急かす。

明日になれば。
明日になれば全て話せるからと自分に言い聞かせ、やがて彼女もその場を離れた。
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