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短編集【黒子のバスケ】

第12章 男女の友情【緑間VS高尾】



高尾に手を引かれてそちらに倒れこむと、彼はそんな私を受け止めて開いていない方のドアに私をもたれ掛けさせた。

そして自分は私に覆い被さるように立ち、人にぶつからないようにしてくれる。
そんな女の子対応されたことがなくて。

「た、高尾!良いよそんなの」
「いーのいーの、やらせて?」

彼は特に対応を今までと変えてはいない。
車道を歩いてくれるし、さりげなく荷物も持ってくれる。
2人でこんなに混んだ電車に乗るのは初めてだけれど、以前の私なら大して気にせずそのまま会話を続けていたはずだ。
高尾優しいなーこれはモテるわとか思いながら。

なのにどうしてこんなに心臓がやかましいのだろう。
自分が変な顔をしてるんじゃないかと心配で、窓から外を眺めて気を紛らわせようとした。

その時、

「っと……!!」
「っ?!」

電車のカーブで人が一斉に私達のいるドアの方に倒れこんできた。
中には吊り革などに捕まってない人もいて、揺れるだけじゃなく文字通り倒れてくる人もいる。

それらの人を支えきれなかった高尾は思わずドアに肘をついて。
彼の顔が、目前にまで迫ってきた。

丁度身長差は頭1つ分。
必然的に私は彼の胸に顔を埋めることになり。

「ごめ、高尾…!」
「俺こそ悪い…けどさ、理央奈ちゃん」

カーブが終わったことで人々は元の体勢と戻る中、私だけ戻らないのは恥ずかしくて彼から離れようとしたところで名を呼ばれ、手を掴まれたことで静止する。

「このままでいて、あと少しだけ」

近い距離でそっと囁かれる言葉。
そこにいるのは友達である前に、1人の男性であることを思い知らされた。
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