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短編集【黒子のバスケ】

第12章 男女の友情【緑間VS高尾】


その夜、テレビを見ながら大笑いしていると手元のスマホが着信を知らせる。

「高尾?どしたの、こんな時間に」
『あ、理央奈ちゃん?あのさ、遊園地の事なんだけど…』

着信の主は高尾。
珍しいこともあるものだと通話をしてみると、気のせいか彼の声が少し緊張で硬くなっているように聞こえた。

「うん」
『…えっとさ、当日一緒に行かねぇ?』
「うん、別にいいよ」
『マジ?!そっか、良かった!』
「あそこまでの道複雑じゃん、誰かと行かないと不安だったんだよね〜!いやぁ、うん、助かるよ高尾!」
『お、おう…じゃあその日お前の家まで迎えに行くから!』

そうして通話は終わる。
これで当日2人を待たせる心配が無くなったと喜んでいる私とは対照的に、高尾が"あいつ鈍感だったっけ?"とスマホを握りしめてため息をついていたことを、私は知る由もなかった。

高尾とだけではなく、緑間とだけではなく。
2人と一緒に行くことが、とにかく楽しみで仕方なかったのだ。
この日の私は。

ある大きな決断を迫られることも知らずに。


そして、遊園地当日。
朝迎えに来てくれた高尾と共に目的地へと向かう電車の中。

晴れてよかったねなんて他愛ない話をしていると、ふと高尾が真面目な顔になった。

「なぁ理央奈ちゃん」
「ん?どうしたの」
「お前、さ…好きな奴とかいんの?」
「へ?」

そして問いかけられる。
その言葉に私は首を横に振った。
正直今仲の良い男子なんて高尾と緑間くらいで、その2人にも私は友情以外の感情を抱いていない。

他にも先輩とかカッコいいと噂される人は知っているけど、そこに恋愛感情はなかった。

「興味ない…わけじゃないんだけどな」

その思いを素直に彼に告げると、彼はそっかと頷く。
浮かべている表情が存外優しくて、思わずその顔に見入ってしまった。

「ん?俺になんかついてる?」
「…ううん、別に」

指摘されて初めて自分が高尾を見つめていたことに気付く。
急に真面目な顔してそんなことを聞くから、今隣にいる彼は異性なのだと意識してしまい、勢い良く顔を逸らした。

落ち着かない。

すると電車はある人通りの多い駅で止まり、どっと人が押し寄せる
さっきまで空いていた車内が、一気に人で溢れかえった。

「理央奈ちゃん、こっち」
「え?…っ、…」
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