第12章 男女の友情【緑間VS高尾】
「緑間、高尾!帰ろ!」
「おう!」
「…ああ」
バスケ部の活動が終わり、着替えてきた2人を玄関で待ち構える。
見えてきた姿にオーバーに手を振ると、二人はすぐに気付いて小走りに来てくれた。
「いつも待たせちゃって悪いな〜」
「先に帰っても良いのだよ、九条」
「いいのいいの!私が待ちたくて待ってるだけだから!」
中学で知り合って、高校も偶然一緒になった緑間。
クラスで席が隣になり、自宅も近かった高尾。
この2人といるのは心地良かった。
どちらも性格はかなり違えど良い人であり、真面目な人で。
女友達より気の置けないかもしれない、そんな2人と一緒に帰るのは最近定番化しつつあった。
「そういえばさ、理央奈ちゃん今度の日曜暇?」
そんなある日の帰り道、高尾に予定を問われる。
「ん?ん…別に何もないかな」
手帳を開き、パラパラとページをめくりながらそう告げると、彼は軽く拳を握って横にいる緑間と視線を合わせる。
緑間も、心なしか表情が嬉しそうに緩んでいて。
「じゃあさ、俺達と遊びにいかねぇ?」
「遊びに?」
その誘いは願っても無いものだ。
ましてや普段部活で忙しい彼らからなら尚更。
その貴重な休日を私と過ごしてくれるなんて嬉しくて、内容を聴く前からぶんぶんと首を縦にする。
「そんなに振ると首が落ちるぞ」
そんな風に緑間にからかわれたけれど、それすらも今は嬉しく感じて。
「ね、どこ行くの?」
「んー?特に決めてねぇけど、どっかある?希望」
「あ、あそこ行こうよ!リニューアルしたっていう遊園地!」
設備の老朽化やら新しいアトラクションの追加やらでリニューアルしたらしいとある有名な遊園地。
その話を聞いた時から3人で行けたらいいなと思っていたのだ。
まさか叶うとは思わなかったから、自然と顔がにやけてしまう。
私の提案を受け入れた2人と話し合い、当日は現地集合ということでその日は解散となった。