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短編集【黒子のバスケ】

第11章 ヤキモチ焼きな旦那様【火神】



少しあやしてやると彼は少し機嫌を直したらしく、その後は暫く大我とゲームなどで遊んでいた。

けれど私を独占したい気持ちに変わりはないらしく、普段は大我の隣で食べる夕食も今日は私の隣。
入浴も私とが良いと言い出した。

対する大我も悠をその点においてはライバルとみなしたのか、皿洗いの時や悠が宿題をしている時なんかはやたらとくっついて来る。

正直なところ家事が進まないから困るのだが、火神家男性陣に取り合われるのに悪い気はしなかった。
だからどちらも拒まず、かといってどちらかを贔屓することもなく流してきたのだけれど、それがマズかったのかもしれない。

ついに選択を迫られた。

「ママ!」
「理央奈!」

「「どっちの方が好きなんだ?!」」

「……そう言われても」

選べるわけがない。
しかしここで選択をしないと2人の不毛な戦いは終わらないだろう
ぐいぐい迫ってくる二人から顔を背けながら思考を働かせる。

そして私がした結論は。

「…じゃあ、悠かな」
「!!ほんと?」

その時の大我の顔と言ったら申し訳なさでいっぱいになるくらいの、まるで捨てられた子犬のような顔をしていた。

「パパより?パパより好き?」
「うん、悠の方が好きだから。早く寝なさい」
「うん!」

自分が選ばれたことで有頂天になった悠は大我に向かってガッツポーズを決めると、軽やかな足取りで寝室へと消えた。


「子供って可愛いね、大我」
「……」
「大我…怒ってる?」

黙ってソファに座っている大我。
そんなに選ばれなかったことがショックだったのだろうかと近づいて見ると、突然抱きしめられた。

「た、大我…?」
「怒ってねぇ。悠の機嫌も直ったし、あれで良かったと思ってる」
「…」
「でも、それでもちょっと嫉妬しちまったから」

首筋に埋められているせいで、彼の顔は見えない。
しかしその声色は悲しいというより子供相手に嫉妬してしまったことに対する羞恥が含まれていた。

「…ごめん、大我。もちろん大我のこと愛してるよ」
「なら、今は俺だけのお前でいて」

さっき悠に言われたことを気にしているのだろうか。
こうやって人のことを気遣い、ちゃんと向き合う彼が愛しくて、良いよと頷くと大我は顔を上げ、静かに唇を重ねてきた。
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