第11章 ヤキモチ焼きな旦那様【火神】
「んっ…」
「っ、ふ…」
何度も角度を変えてキスをされる。
久しぶりの彼とのキスは甘くて、頭の芯がぼうっとする。
次第に口付けは深いものへと変化し、呼吸が辛くなってきて。
限界を伝えるように背中を叩くと、大我は唇を離した。
「…今日は激しいね」
「久しぶりだからな、少しでも長くお前を感じたい」
「うん、私も…んっ」
休憩は終わりだとでもいうように後頭部に手を回され、2人の距離がぐっと縮まる。
再開されたキスの嵐は、風呂上りでもないのに私の体を熱くした。
「理央奈…愛してる」
ぼんやりしてきた意識をはっきりさせたのは大我が愛を囁くと共にシャツに手をかけたから。
流石にこれ以上はマズいと頭に浮かんだ瞬間、彼の手を握ってそれを制した。
「…悠が起きるから」
「ココでやらなきゃ良いんだろ?」
悠の部屋はリビングのすぐ隣。
声をあげれば簡単に彼は起きてしまうと、そういった理由で逃れようとしたものの大我にはお見通しであったようだ。
軽々も私を抱き上げた大我は寝室へと向かう。
「強引なんだから…」
「嫌か?」
「まさか…久しぶりに会えたんだもの、大我に甘えたい」
「っ…そういうこと言うの反則」
ベッドに横たわる私の上に覆い被さる大我は私の言葉に恥ずかしそうに顔を赤くした。
そんな彼の頬に手を添えると、大我も自分の手を重ねてくれて、2人額をくっ付ける。
「理央奈、寂しい思いさせてごめんな」
「ううん、テレビでもあなたが見えるし、悠もいるから大丈夫」
「…そっか」
「それに、帰ってきた時はずっと一緒にいてくれるでしょ?」
だから寂しくなんかないよ。
「ほんと、俺の嫁って最高」
優しい笑みを浮かべた大我は、啄ばむようなキスを送ってくる。
そんな彼を抱きしめて、幸せをかみしめながら。
久しぶりの旦那様との夜を過ごした。