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短編集【黒子のバスケ】

第6章 見つけてくれた人【黒子】


「え、ええ!?」

そのとんでもないニュースは瞬く間に全校生徒に広まった。

男子バスケットボール部のウィンターカップ優勝。

あの洛山を、海常を、秀徳を、桐皇を、陽泉を、多くの強豪校を抑えて創立2年目のうちの部が、頂点に輝いた。

これが喜べないわけがない。
テツヤくんにとって、特別な意味を持つこれを。

「おめでとう、皆…!!」

いてもたってもいられなくて、私はバスケ部の人がいるであろう場所へ向かった。




幼稚園の時知り合ったテツヤくん。
それから小中高とずっと同じ学校で、所謂幼馴染みという関係だった私達は、彼が中学時代にバスケ部の一軍に昇格にした時、恋人という関係に変わった。

ずっと一緒にいたから、そばにいないと寂しくて、会いたくなる。

そんな思いをテツヤくんも持っていたと知った時は本当に嬉しかった、思わず泣き出したほどに。

でもそれから色々あって、恋人らしいことは何もしていない。
バスケ部との出来事は彼に大きな傷を与えていて、私はそばで支えることしか出来なかった。

しかも立ち直らせたのは私ではなく同じく傷を負った友。
何の役にも立てなかった私は、それでも彼から離れることだけはしなかった。

「お願いします、君は僕のそばにいて下さい」

付き合った当初に言ってくれた、あの言葉。
それだけは、決して違えたくなかったから。

そして高校に入り、今の仲間と出会って。
テツヤくんのやりたかったバスケがそこにあって、彼は毎日が楽しそうに見えた。
テツヤくんに笑顔を取り戻してくれたあの人達には感謝してもしきれない。

そんな彼らが、念願を果たしたのだ。


「テツヤくん!」
「理央奈さん、よくここが分かりましたね」


ココだろうと踏んで飛び込んだマジバーガーには探していた人々が勢ぞろい。
いつものバニラシェイクを啜っていた彼は私を見て優しい笑みを浮かべる。
その姿に思わず飛びつくとテツヤくんはしっかり受け止めてくれて。

周りは見せつけるなとか何とか言っていたけどそんなことどうでもよかった。

「おめでとう、テツヤくん…!!」
「…ありがとうございます」

ぎゅっと抱きしめてくれる彼の腕の中は温かい。
そういえば抱きしめてもらうなんて何時ぶりだろうと思ったその時、耳もとで囁かれる。

「これからは今までやれなかったこと、たくさんしましょうね」
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