第9章 甘い誘惑 ~初めての○○~
一弥の部屋に入るのはこれで2回目。
ゆっくりとベッドの横に座ると、
「とりあえず、なんか飲み物。。。」
一弥は部屋を出て行った。
写真の並んだ棚に目をやると一弥の隣には必ず倉持が写っていた。
(やっぱり、仲がいいんだ。。。)
奈帆は最近の倉持の事を話すべきか悩む。
「奈帆?。。。奈帆!」
ハッとしながら一弥の声の方を見ると、飲み物を手渡される。
「なんかあったか?」
隣に座る一弥、包み込む優しい声。
奈帆はまだ迷っていた。
「何でも話してくれなきゃわかんねーよ。お前の事なら何でも受け止めるし。。。」
優しく奈帆の肩を抱く。
少し間を置いて
「実はね。。。」
奈帆は深く深呼吸をしてゆっくり話し始めた。
「最近、一弥が忙しくなって。。。倉持先輩と話す機会が多くなったの。。。ちょっとね。。。」
心配させまいと柔らかく話す奈帆だったが、一弥は薄々勘づいていた。
「何でもっと早く言わなかったんだょ。。。」
奈帆を腕いっぱいに抱きしめ耳元で
「ごめんな、俺からも言っとくから。。。」
抱きしめた腕に力がこもる。
「でも。。。部活に影響出ない?来週は甲子園に向けての大事な試合だし。。。」
ゆっくりと奈帆身体を離し一弥が見つめる。
「部活とこれは別の話だろ。。。お前はマネージャーだけど。。。俺の大事な女神なんだから。。。」
そう言って奈帆の唇をふさぐ。
今までに無いような荒々しくなるキスに目眩がする奈帆。
そしてゆっくりとベッドに倒される。
奈帆を上に重なり見つめる一弥。
「約束覚えてる?」
一弥の声が降り注ぐ。
「う。。。ん。。。」
ゆっくりと首を縦に振る奈帆。
「今日は。。。抱きしめて寝たい。。。つか、今もすっげー我慢してんだぞ~!」
奈帆を気遣ってか冗談交じりの言葉に奈帆は笑う。
「やっと笑ったな。。。つか、俺の胸に手当ててみ?」
ゆっくりと奈帆は手を当てるとけたたましく脈打つ鼓動が伝わってきた。
「試合より緊張してっかも。。。」
そして2人は笑いながらベッドに横になり朝が来るまで離れなかった。