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私はSですが?何か?①

第10章 ~サイドストーリー~ 誘惑と嫉妬


試合の日の朝、何だか朦朧としながら天井をみる奈帆。しかし何やら玄関が騒がしいような気がする。
“トントン。。。”
ドアがノックされて力の無い返事をする奈帆。
「何?。。。」
するとドアが開き一弥が入ってきた。
びっくりして起き上がるとゆっくりと奈帆の横に座り両手で頬を包む。
「眠れなかったのか。。。こんなに目の下にクマ作って。。。どうしても、お前の顔見てから行きたかった。一緒に甲子園行くって約束したろ?」
真っ直ぐで優しい目に吸い込まれる。
「うん。でももう。。。」
奈帆が話そうとすると一弥の胸に引き寄せられる。
「俺。。。やっぱりお前の事諦めらんねーわ。だから別れ無い。俺を信じて俺だけの女神で居てくれよ。。。」
頭の上でポツリと話す一弥。
「私。。。もう一弥の足手まといになりたくないの。。。だから」
ゆっくりと一弥が奈帆の顔を覗き込み、
「足手まといだなんて思ってねーし。もし、少しでも俺を好きだって気持ちがあるなら、スタンドからでもいい、試合を見ててくれ。。。俺はどこにいても奈帆を見つけられる。試合が終わったらまた会いたい。。。」
そう言って奈帆に優しいキスをする。
玄関まで見送る奈帆。
「あの、これ。。。」
何日も前から作っていたお守りを一弥に渡す。
「サンキュー!じゃあ、行ってくるわ!」
最後の一弥の笑顔が頭に焼き付きしばらく一弥の出て行ったドアを見つめていた。
なんだか落ち着かない奈帆は、急いで制服に着替える。一弥から貰った野球部のキャップをかぶり球場へ向かった。
決勝戦ともあり人がたくさん座るアルプススタンド。
奈帆は1番上を選び目立たないように座ると
「やっぱ来たんだ。」
聞き覚えのある声が横から聞こえてきた。
ふと横を見ると複雑な心境の雅也が座っていた。
「雅也くん。。。どうして?」
奈帆はびっくりしながら話すと
「オマエが泣いてるような気がして。。。って目が腫れてっから泣いてたんだろ。」
雅也の勘の良さには本当にいつもドキっとさせられる。
「雅也くんてホント、そうゆう人を好きになる子は幸せだね。」奈帆が笑いながら話すと
「いつでも乗り換えてきてもいーんだぞ~。」
半分冗談混じりに話すと自然と奈帆の顔が柔らかくなる。
その時、整列する選手の声が球場に響き渡り試合が始まった。
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