第9章 甘い誘惑 ~初めての○○~
「お邪魔します。。。」
初めて一弥の家に遊びに来た奈帆。
一弥の香りが漂う中リビングへ通された。
サイドボードには中学生の一弥の写真がたくさん敷き詰められていた。
「あっ!これって中学生ですか?」
そう言って見入ると野球部の見慣れた顔ぶれが数人いた。
「そーそー、高校も一緒に野球やろーってみんなでウチの高校受けたんだよ。。。懐かしいなぁ。。。」
しみじみと見つめる一弥。
「だから。。。」
続きを言おうとした時、一弥の手が奈帆の頬を優しく包む。
「今は野球も上手くいってるし。。。大切な宝物も見つけた。。。コイツらに感謝だな。。。」
そう言って奈帆の唇を軽く塞ぐ。
静まり返った家に2人きり。
鼓動のスピードが上がる奈帆は照れくさそうに下を向く。
(どうしよぅ。。。私。。。どうしちゃったのかな。。。)
緊張のあまり頭がパニックになりかけた時。。。
「おーし!作るぞー!!」
そう言ってキッチンへ向かう一弥。
ホッとした奈帆は
(緊張してるの私だけかな。。。)
自分が恥ずかしくなった。
一弥を追い掛けキッチンへ。
するとぎこちない手つきで野菜を刻む一弥。
「あ、危ない!手が切れちゃうから、私がやるね。。。」
奈帆は一弥から包丁を取り上げリズミカルに刻んでいくと、
「へぇ~、意外だなぁ~!料理とかするんだ!ってか袖が危ない。。。」
一弥は奈帆の袖を後ろからまくり上げる。
顔の近さにまた緊張し始める奈帆を見て
「すっげー耳まで真っ赤!」
笑いながら奈帆の頬にキスをおとす。
料理なんだかイチャついてるんだか分からないまま準備完了。
ホットプレートの前で一弥が、
「ひっくり返すぞ~!おりゃ!!」
まんまるなお好み焼きが崩れてしまった。
「ぷっ!!一弥先輩って不器用なんですね?」
奈帆が笑いながら一弥を見つめると
「ちょ、ちょっと緊張して力加減間違えたんだよ~!」
照れながらまた丸く直す一弥。
歪な形のお好み焼きは奈帆の口にはたっぷりの愛情の味が広がった。
ご飯を終えて一弥の部屋へ向かう。
初めて入る一弥の部屋に緊張しながら階段を登る奈帆。
(どんな部屋かな。。。って、これって。。。)
期待と不安で押しつぶされそうになっていた。