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私はSですが?何か?①

第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~


いよいよ試合の朝、いつものように一弥と歩く。
しかし言葉が少ない一弥。
「体調悪い?」
奈帆が心配気味に言うと
「ぜってー勝から!!」
真剣な眼差しに吸い込まれそうになりながら一弥を見つめる。
「うん。応援する。。。」
奈帆が少しでも緊張をほぐそうと笑顔になると。
「スズランの女神。。。だからなっ!!」
そう言って奈帆の頭を撫でると一気に表情は優しいものへと変わった。

いよいよ試合がはじまり1回戦、2回戦ともに圧勝。
最後の試合で疲れが見え始める。
ふと戻った一弥にタオルを渡すと、いきなり抱きしめられる奈帆。
「充電。。。次の回で打つから。。。勝つから。。。」
みんなの見てる前で大胆な行動の一弥。
「うん。頑張って。。。見てるから。。。」
そう言って一弥を離すと
「こんな所で弱気になって!しっかりして!!次期キャプテンでしょ!!」
奈帆の声がベンチに反響する。
ハッとして一弥は
「おー!!よっしゃ、行くぞ!!」
そう言ってバッターボックスに向かって行った。
応援のブラスバンドもベンチからの応援も何も聞こえなくなる奈帆。
次の瞬間。。。けたたましい音と共にボールは観客席に吸い込まれていった。
『ホームラン!!』
笑顔の一弥が走る。
目で追い掛けながら奈帆は
(この笑顔。。。ずっと見ていたいな。。。)
そう思いながら一弥が戻ってくると夢中で抱きついてしまった。
「勝ち越しおめでとう!!」
奈帆が一弥の耳元でつぶやくと、
「つか、みんな見てるから。。。けど、ちょっとヤバいかも。。。嬉しすぎて!!」
そう言うと奈帆を強く抱きしめた。
そのまま試合は勝利に終わり予選通過を果たした。

夕暮れの帰り道一弥と歩きながら微妙に緊張する奈帆。
「今日は勝ったから、家で飯食うぞ!!何がいい?」
奈帆の顔を覗き込みながら聞く。
「なんでも。。。」
緊張のあまり顔を上げられない奈帆。
「じゃあ、お好み焼きにすっか~!!俺めちゃくちゃ得意だし!」
そう言いながら2人は買い物を済ませて一弥の家に向かった。
初めて入る男子の家に足が震える奈帆。
「どーぞ!」
一弥がドアを開けて奈帆を先に通す。
「お邪魔します。。。」
そう言って中に入ると一弥の香りがすることに気が付いた。
(抱きしめられるとこの香りがする。。。)
一弥の香りに包まれながら鼓動だけが高鳴っていた。
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