第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~
昼休み、少し早めに部室に着いた奈帆。
中にはまだ一弥の姿は無かった。
一弥のロッカーを見つめながらユニフォームを見つめる。
(ちょっと直しておかなきゃな。。。)
穴が飽きそうな場所をさわりながら考えていると後ろから柔らかい温もりが覆った。
「ゴメン。。。遅くなった。つか、俺のロッカーで何してたの?早く会いたいとか考えてくれてた?」
耳元でボソボソと話す声に身体に電気が走る。
しかしすぐに奈帆を振り向かせロッカーに追い詰めるように腕で奈帆の逃げ場はなくなった。
「お昼食べよう!」
奈帆は話しをすり替えようとするが、
「なぁ、俺の質問に答えてねぇよ。。。」
優しい眼差しで見下ろす一弥。
「えっと。。。」
話し始めようとした時奈帆の唇を一弥は塞ぐ。
身体の力が抜けて立っているのもやっとの奈帆の腰に手を回しキスが段々激しくなっていく。
「一弥。。。お昼。。。食べるよ!!」
勢いよく一弥を離す奈帆。
一弥はハッとして
「ゴメン。。。なんか。。。」
最後まで言わないまま椅子に座った。
奈帆も座ると2人は食べ始める。
「つかさぁ~、さっきの質問の答え聞いてねーんだけど。。。」
少しイタズラっぽく奈帆を見つめる。
「いや、ユニフォームも直しておかなきゃなぁ~って。。。」
奈帆が正直に話すと
「会いたいとか考えてくれてなかったんだ。。。」
少ししょんぼりとする一弥を見て、
「早く。。。来ないかな。。。とは思った。。。」
目線を一弥からそらして言うと一弥がいきなり頭がテーブルに着くくらいガクッとなった。。。
びっくりして一弥を見る奈帆を下から見つめながら
「そーゆーの。。。破壊力有りすぎ!」
そう言って奈帆の頭を優しく撫でる。
そして満足したかのように話しを切り替え大会の話に変わる。
「この予選、全部勝ったらその後俺の家に来ねえ?両親が温泉旅行で居ねーから一緒にご飯食べたいなーって。。。」
一弥が奈帆をじっと見つめながら話すと
「全部って勝ち抜いたら3試合だよ!大丈夫?」
少し心配気味に話すと
「じゃー決まり!おーしっ!今日からめちゃくちゃ練習するぞ~!!」
そう言って張り切る一弥。
奈帆は
(なんかこーゆー所もあるんだ。。。かわいいな。。。)
そう思いながら午後の授業へ向かった。