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私はSですが?何か?①

第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~


電車を降りて奈帆の家まで歩く2人。
空は薄暗くなり星が瞬き始める。
奈帆の家まで着くと2人ともが帰ろうとしない。
「あのさ。。。」
一弥が口を開き
「あと少しだけ話さないか?」
宝物を手放したくないように奈帆を見つめる。
「私は。。。いいですけど、一弥先輩が。。。」
気を遣いながら答えると
「俺が誘ってるんだって!じゃあ決まり!!どこかある?」
一弥が辺りを見回す。
「角を曲がったら公園が有るから、そこは?」
奈帆が言い終わらないうちに一弥が奈帆の手をとり歩き出す。
公園には誰も居なく静まり返っていた。
「懐かしいなぁ。。。小さい頃は来たんだけど。。。」
奈帆が辺りを見ながら話す。
「どれが好きだった?」
一弥が聞くと
「やっぱりブランコかな~?」
「じゃあ乗ろうか~!」
2人はブランコに腰をかける。
一弥がブランコをこぎ始めるとみるみるうちに高く揺れた。
「奈帆は、こがねーの?」
一弥が奈帆に聞くと
「あまりこげなくって。。。高いとこも嫌いだし。。。」
と、静かに揺れていると一弥がブランコから飛び降りて奈帆の後ろに立った。
「ちゃんと掴まってろよ!」
そう言うと奈帆の背中を押し始める。
少しずつ高くなり、
「一弥先輩!もぅ怖い!!」
奈帆が少し大きい声をあげると慌てて止める一弥。
「悪ぃ。。。少しはしゃぎすぎた。。。」
そしてブランコに座る奈帆を後ろから優しく包み込む。
奈帆は耳元に一弥の息を感じた。
「奈帆。。。俺さ。。。思ったことを言葉にする。。。だから。。。どこにも行くなよ。俺だけのものになれよ。。。」
腕に力がこもり、

「好きだ。。。」

一弥が肩に顔をうずめ
「奈帆は?もう。。。答え待てねーから。。。」
身体に響く一弥の声に
「好き。。。かな?」
奈帆の曖昧な言葉に一弥は奈帆を振り向かせ、
「今よりもっと好きにさせるから、覚悟しとけよ!」
一弥はそう言うと顔を近づける。
柔らかい温もりが奈帆の唇に触れる。
ゆっくりと離れて奈帆は恥ずかしくなり下を向きながら「ほぅ。。。」と息を吐いた。
「何?今の声??てか、オマエ最高!!」
そう言ってまた軽く奈帆の唇に触れた。
空には無数の星が2人を祝福するようにキラキラと輝いていた。
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