第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~
奈帆が教室に入るが雅也はまだ廊下で一弥先輩と向かい合っていた。
「一弥先輩、中途半端ならアイツに会わないで下さい!アイツの気持ちもあるんですから!」
それだけ言うと雅也は教室へ入って行った。
一弥は廊下を歩き戻りながら
(わかってるっつーの!早く話ししねーと。。。)
昼休み、一弥は奈帆を誘いに来るが居なかった。
モヤモヤしながら放課後部活へ行く一弥。
しかしサッカー部に奈帆の姿を見つけるが声は掛けられなかった。
(マジかよ。。。雅也。。。まさか。。。)
更に嫌な予感が過ぎる一弥。
部活へ合流するがどこか上の空だった。
奈帆はいつも通りサッカー部を終えて校門まで歩くと、誰かが立っているのが見えた。
夕日で顔が見えないまま近づくと一弥先輩が立っていた。
「奈帆。。。お疲れ、ちょっといいか?」
切ない目で奈帆を見る一弥。
「はい。。。私も話しがあって。。。」
そう言うと2人は並んで歩き始めた。
しばらく沈黙が続き気まずい雰囲気。
しかし一弥がいきなり
「雅也と。。。付き合うのか?」
ストレートな言葉に驚く奈帆。。。しかし
「それは無いです。。。」
冷静に答える。
一弥はホッとしたのか息を大きく吐き
「そっか。。。つか、合宿最後の夜。。。ゴメンな。。。なんつーか、人を好きになる?つーのに慣れてねーから。。。ちょっと言い過ぎちゃって。。。」
一弥先輩が照れた顔を隠すように奈帆と反対側を見ながら話す。
「いえ、私も少し言い方?悪かったかも。。。ごめんなさい。。。」
2人は同時に顔を見ると吹き出して笑った。
「明日から野球部来てくれよ。。。」
一弥が言うと
「行きますよ。。。ビシバシやりますが、覚悟できてます?」
奈帆が照れ隠しに上から目線で話すと
「頼むよ。。。オマエじゃなきゃダメなんだよ。。。 」
そう言ってゆっくりと奈帆の手を包み込むように握った。
一弥先輩が触れている手はどんどん熱を帯びていく。
そうこうしながら歩いているの駅に着いた。
奈帆は
「じゃあ。。。ここで。。。」
そう言いながらホームへ入ろうとした時
一弥が奈帆のてを引っ張り
「やっぱり送らせて!!」
そう言って2人ホームに入って行った。