• テキストサイズ

私はSですが?何か?①

第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~


雅也が行った後藤堂の計らいで別の車で送って貰う奈帆。
車からの景色をぼんやり見つめながら
(どんな顔して会えばいいのかな。。。)
気が付くと学校の近くまで来ていた。
車を降り藤堂さんにお礼を言うと、トボトボと学校へ向かった。
グラウンドでは野球部が朝練をしている。
ふと視線を感じ目を向けると一弥がこちらを見ていた。
遠くに見える一弥と見つめ合う。
(私。。。やっぱり。。。仲直りしなきゃ。。。)
奈帆からは表情までは見えなかったが、優しく微笑む顔が脳裏を過ぎる。
(話せるといいな。。。)
そぅ思いながら校舎へ入った。
教室に着くと雅也に腕を掴まれ
「ちょっと来い!!」
誰も居ない音楽室に連れて行かれる奈帆。
「お、おはよぅ。。。」
気まずい雰囲気を打ち消すように奈帆は雅也に話しかけた。
「つか、何で先に帰ったんだよ!心配するだろーが!」
雅也は怒りながら奈帆を睨む。
「いや。。。なんか。。。」
言葉に奈帆が詰まっていると
「一弥先輩が好きなんだろ?昨日のあの勢いよく出て行ったのをみたら分かるつーの!!」
奈帆の頭に手を置きながら優しい声に変わる。
「多分。。。けど仲直りできるかどうか。。。」
奈帆が肩を落とすと勢いよく雅也が、
「俺に任せろ!嫌でも一弥先輩が声かけてくるようにしてやっから。。。けど。。。昨日のは本心。本当は一弥先輩に渡したくねーけど、オマエの笑った顔が好きだから。。。そのかわり泣く時は俺が一緒に泣いてやるよ。。。約束な。。。」
雅也の言葉に唖然とする奈帆。
「なんでそんなに私にしてくれるの?」
奈帆は咄嗟に聞いてしまった。
「そんなの。。。好きだから。。。だろ。。。」
雅也が照れながら話す。
「だったら尚更。。。わけがわからない!」
奈帆も意地になって言い返すと
「笑ってて欲しいから。。。だから約束守れよ!教室戻るぞ!!」
そう言って雅也はドアに手をかけると、
「とりあえず今日もサッカー部来い!」
聞き返す間もなく雅也は出て行った。
(あの優しさに甘えていいのかな。。。)
奈帆は考え込みながら教室へ戻って行く。
教室の前に着くと一弥が廊下で待っていた。
「奈帆。。。あのさ。。。」
一弥が話しかけると同時に雅也が
「遅ーよ!さっさと教室入れ!」
雅也が奈帆を教室へ無理矢理歩かせた。。。
/ 111ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp