
第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~

お風呂を済ませ着替えをしようとしたとき、制服が無い事に気が付く。
(あれ?私の制服??)
横を見ると新しいピンクのシルクのパジャマが置いてあった。柔らかい肌触りにうっとりしながら、
(やっぱり違うんだなぁ。。。)
改めて雅也のお坊ちゃま振りを認識する。
バスルームを出ると雅也が待っていた。
「お、遅~よ!!いくぞっ!」
少し頬を赤らめながら先に歩く。
奈帆はただ雅也を追うことしかできなかった。
部屋に入ると部活ノートを広げ練習について話す2人。
雅也が無謀な練習内容を組んで奈帆に話す。
「そんなのは無理です!いくら天才ストライカーとは言ってもこの内容はコーチもいい顔しない!」
奈帆が怒りながらノートを指さして
「ここと、ここは別メニューで!」
奈帆の提案に雅也は笑う。
「そ~そ~その感じがオマエだよ!」
そう言いながら奈帆の頭をグチャグチャっとする。
「やめて!も~!!」
ちょっと不機嫌になった奈帆に雅也が、
「悪ぃ、悪ぃ!じゃあさ、まだ眠れないからトランプでもやらね~?」
そう言ってベッドに座りこみトランプを配り始める。
「さっさと来い!ババ抜きだから。。。負けた方はバツゲームな!!」
ニヤニヤとしながら配る雅也。
「はぁ?バツゲーム?やろうって言い出しておいてさ!じゃあやらない!!」
奈帆が立ち上がると
「変なバツゲームはしねーから!さっさとやるぞ!つか、負けなきゃいーだろ!!」
無理矢理ゲームを進める雅也。
納得しないままトランプを手に取った奈帆。
「じゃあ1回だけ!」
そう言ってババ抜きを始めた。ゲームは終盤になり、雅也が1枚奈帆が2枚。雅也が前に出されたトランプをじっくり見る。
奈帆はドキドキしながら
(右のハバ!引いて!)
すーっと伸びてきた雅也の長い指が左のカードを掴もうとした時、
「ま、待って!!」
そう言って奈帆はのけぞると勢いのあまりベッドに倒れ込む。雅也もムキになりながらトランプを掴もうとしたせいで奈帆の上に覆い被さってさはまった。
(こ、この感じ。。。マズイ。。。)
奈帆は突然の至近距離に強く目をつぶった。
「隙あり!!」
雅也が奈帆の持っていたトランプを取るとすっと身体を離した。
「いつまでそのカッコしてんだよ!つか、襲うぞ!!早く起きろ!」
そう言って奈帆の頬を手の甲でペチペチ叩く。
「つか、俺の勝ち!」
