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私はSですが?何か?①

第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~


大きな扉の前に車が止まるとリムジンのドアが開く。
「おかえりなさいませ。おや?お久しぶりでございます。奈帆様。」
藤堂さんがびっくりしたように奈帆を見ながら話していた。
「先に風呂入るから奈帆を食堂へ頼む。」
雅也が藤堂に話すと
「かしこまりました。では奈帆様、しばし私のお相手をお願いできますか?」
そう言って奈帆を食堂へ連れて行く。
「いきなりお邪魔して申し訳ありません。藤堂さんもお元気のようで。」
奈帆がかしこまって話すと
「奈帆様は普通に話して下さい。それよりも雅也様から聞きましたが、野球部を選択なされたそうですが?

藤堂が奈帆に不思議そうに聞くと
「いえ、はっきりと決めた訳じゃないんです。合宿で雅也くんが野球部へ行けと。。。けど、一弥先輩とギクシャクしてしまって。。。距離を置いたんです。その間だけ雅也くんのマネージャーなんです。」
都合良くあちらこちらしている自分に羽良を立てながら話す奈帆。
「若いうちは悩んでいいと思います。しかし、雅也様が野球部へ行けと。。。きっと苦しんでいらっしゃる奈帆様を見ていられなかったのかもしれませんね。小さな頃雅也様がお母様に頂いたぬいぐるみを大切にしていたのですが、お兄様が欲しがって泣いていた時、雅也様はぬいぐるみを手放したんです。自分が我慢をすれば誰かが苦しむのを見なくて済むと考えられたんですね。今も変わらないですね。。。おっと、話が長くなりましたね。雅也様がお見えになりましたよ。」
そう言って藤堂さんは奥へ行ってしまった。
「あ~!さっぱりした~!」
雅也が濡れた髪を拭きながらやってきた。
何だかいつもと違う雰囲気に釘付けになる。
「さて、食うぞ!つか、泊まってくか?話したい事もあるし。。。」
食べながら雅也はしれっと話すと
「藤堂~!奈帆の自宅に連絡頼むわ。あとあの部屋の用意も。それまで俺の部屋に居るから。」
勝手に話を進める雅也。
「かしこまりました。」
そう言いながらも奈帆を見る。
が「奈帆様、大丈夫ですか?」
心配そうに藤堂が尋ねると
「泊まる理由がありません。だから。。。」
言い終わらないうちに雅也が
「理由?あるだろ!今は俺のマネージャーだからな!じゃあごちゃごちゃ言ってねーで風呂入ってこい!!」
雅也が食堂から奈帆を締め出す。
奈帆は渋々バスルームに向かった。
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