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私はSですが?何か?①

第8章 夏の大会 ~すれちがいの日々~


練習をベンチから見ながらノートに書き込もうとしたとき、何か書いてあった。
『無理はしない!ガマンしない!』
走り書きで読みにくいが、雅也の気持ちが伝わる文字。
この下に奈帆は
『大丈夫!雅也くんも!!』
前に専属に付いていた時の朝練や思い通りに行かなくてむしゃくしゃした姿が浮かぶ。
(あれっ?なんか自然におもだしちゃってる。。。)
今まで考えたことの無かった雅也の表情がたくさん浮かんできていた。
「おいっ!ダメマネージャー!!」
雅也の声にハッとする奈帆。
「な、な、な、なんですか?」
慌てて答えると
「バカかオマエは?飲み物とタオル!!なんの為に見てたんだよ!!つか。。。上の空だったろ?」
雅也が奈帆を見ながら厳しい目をしていた。
「い、いや。。。べつに。。。」
見抜かれたことにしどろもどろになる。
「つか、部活に集中!」
そう言いながらおでことおでこを合わせる雅也。
「わ、わかったから!離れて!!」
奈帆が真っ赤になりながら雅也を突き放す。
「やっとマトモになったか。。。」
雅也は一人納得しながらコーチの元へ走って行った。
(まさか。。。こんなにスキンシップするなんて。。。てか、マトモじゃなかったのかな私。。。)
と、考えながらも部活に集中していった。
部活が終わり雅也に声をかけられる。
「送ってくから待ってろ!」
そう言いながら部室に入って行った。
校門で待っているとジャージのままの雅也が走ってきた。
「悪ぃ!コーチに呼ばれてた。。。」
そう言って奈帆と並んで歩き出す。
2人が並んで歩いている姿をグラウンドから一弥は見ていた。
奈帆は一弥に気付くこと無く雅也の練習のダメ出しをしていた。
しかし雅也の目線には一弥が見えていた。
不適な笑みをする雅也。
「ちょっと!人が真面目に話してるのに!なんなの?その態度!!」
奈帆が怒りながら早歩きで進む。
雅也は追いかけながら
「ごめんって!てか、家寄ってかね?久しぶりに誰かと食事したいんだけど。。。」
そう言って迎えのリムジンに奈帆を押し込む。
懐かしい車に奈帆は
「なんか。。。雅也くんて学校だとこんなお坊ちゃまに感じないんだけどな。。。てか、行くって言ってないし。。。いきなり俺様だし。。。」
奈帆が半分怒り気味ゆ話すとゆっくりと雅也の手が奈帆の手に重なった。
車の中は静まり返り雅也のぬくもりだけが伝わってきた。


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