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私はSですが?何か?①

第6章 ~熱い合宿~ 恋の始まり


奈帆は一弥の背中を見えなくなるまで見つめた。
すると
「おしっ!もっかい肝試ししてきちゃいますか~!」
そう言って雅也が奈帆の手を引いた。
あれだけ並んでいた行列はもう残りわずか。
2人は最後尾に並ぶ。
「つか、肝試しって初めてかもな~!」
沈む奈帆を気遣うように雅也がはしゃぐ。
奈帆の頭からは一弥の顔が抜けなかった。
スタートが近づくにつれまた一弥との会話が蘇る。
(なんで。。。あんなこと言ったんだろう。。。)
奈帆はずっと繰り返すよぅに考えていた。
「ほらっ!行くぞ!!」
雅也が強引に引っ張る。
1度通っているからなのか、それとも違うことを考えているからなのか。全く動じない奈帆。
その横できゃっきゃする雅也。
「あのさ~」
雅也が奈帆の肩に手を置く。
我に返ったかのように雅也を見た。
「そんな顔されっとさ。。。諦めつかなくなるんだよなー。。。そんな顔させるためにお前のこと。。。」
全てを言い切らないうちに話を辞める雅也。
雅也自身も自分の気持ちを押さえ込むように言葉をのむ。
「ゴメン。。。」
今の奈帆に出せる精一杯の言葉。
雅也は立ち止まり
「お前はさ、素直に笑ってるのが1番いいんだよな~!だから一人で抱え込んだりしなくていいんじゃねぇ?」
奈帆の正面に立ち優しい手がまた奈帆の頭を撫でる。
「つかさ、俺がいるじゃん。。。一人で泣くんじゃねーつーの!」
今にも壊れてしまいそうな奈帆を優しく抱きしめる。
「我慢すんな。。。」
優しい腕に力がこもる。
奈帆は辛かった気持ちを吐き出すように雅也の腕の中で泣いた。
「あり。。。がと。」
少し落ち着いてでた言葉。
2人はゴールへゆっくりと歩いていった。
肝試しから出て雅也が、
「もう落ち着いた?つか、一人で大丈夫なのかよ。。。多分秀明がめぐを連れ回してるだろーし、眠くなるまでここにいるか!」
そう言って雅也がベンチに座る。
少し間隔を空けて奈帆も座った。
「下向いてばっかじゃなくて、上見てみ!」
雅也が空を見上げながら言った。
奈帆がそっと上を見上げると、無数の星が瞬く。
まるでプラネタリウムを見ているかのような星の数に、奈帆は見入っていた。
まるで奈帆を応援するかのように大きな流れ星がこぼれた。
奈帆の合宿もこの流れ星と共に終わりを告げた。
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