第3章 ~夏がはじまる!~彼が急接近☆★☆
柔らかいベッドにうずくまり、静かに目を開ける奈帆。
(あ。。。また寝ちゃったんだ。。。)
しかし隣にいた雅也の姿は無く慌てて飛び起きる。
(どこだろぅ。。。まさか!朝練??)
昨日の額の熱さを思い出し慌てて練習が見える窓まで駆け寄る。
(やっぱり。。。病み上がりなのに。。。)
心配そうに見ていると昨日の動きとは全く違っていた。
すると
「おはようございます。昨夜の奈帆様のご看病もあり、あの通りでございます。何か得たものがあったんですね。」
にこやかな笑みを浮かべながら藤堂は立ち去る。
(得たもの。。。)
練習を見ながら考え込む。
しかし答は見つからなかった。
いつもの部活。
そこには今までと違う雅也がいた。
集中した横顔が眩しい。
するとコーチが
「集合ー!スタメンを発表する!」
一気に緊張感に包まれる。
「FW。。。雅也!」
「はい!」
名前が出た瞬間、奈帆は今までにない嬉しさがあった。
練習が終わり帰り道。
何時ものように並んで帰る。
すると雅也が
「明日でお試し期間も終わりだ。どーすっか決めたか。。。」
ハッと気が付く奈帆。。。
「まだ。。。てゆうか。。。決められない。。。」
本音が出ていた。
「そっか。。。明日は練習試合だから、その後に。。。」
雅也は全てを言わず車に乗り込む。
奈帆は
『決めたか。。。』
言葉だけが胸に響いた。
一弥先輩と雅也。。。
全く違うスポーツで性格も。。。
どちらかを選べば。。。どちらかを傷つける。
その後選手として影響が無いとは言い切れない。
そんな事を悩み続けていた。